「課題解決力」が備わっていることを面接官に示す必要があります。
採用案内などにもよく記載されているように、大都市東京には様々な新たな課題が発生します。既存のマニュアルどおり、上司・先輩に指示されたとおりだけでは、上手くいかないこともあります。
現場の担当者ではない上司は、状況の変化や個別の事情までは把握していないケースもあります。部下のほうから、「こういう特殊事情があるから、このように処理してはどうか」と上司に提案できるのが望ましいです。
課題解決力は、組織の中核として将来の都政を担う職員には不可欠な能力ですから、「ぜひこの人材を採用したい」と面接官に思わせ、高得点を付けてもらうために、非常に重要な要素です。
仕事で困ったことがあれば、あの人に相談すれば力を貸してくれる、解決策のアイディアを出してくれるという人材は、組織としてもありがたい存在です。
採用の段階で高く評価されることはもとより、入都後も、いずれは難易度の高い職務を扱う部署から声が掛かるでしょう。
一方で、例えば、協調性があるというだけでは、職場にいてくれてもいいが、特にこの人材でなければいけないということもないため、可もなく不可もなくの評価にしかなりません。
受験生の課題解決力を試す方法として、①過去の実績を質問する、②面接の場で実際に試す、の2つがあります。
過去の実績の場合は、ゼミやアルバイト、サークルなど、何らかのチーム、組織の中で、課題を解決するためや、一層の改善を行うために、どのように考え、どのように行動したか説明すればよいでしょう。
チームの課題でなく、個人の課題についてでも良いのですが、都庁の仕事はチームで行われることから、なるべくチームで取り組んだ事例を挙げるべきです。
現状を分析し、理想の状態を達成するために何が障害となっているか課題を抽出。それを克服するためにどのような行動が必要か考え、実際にどのように行動したか。
具体的な事例を示しながら、解決手順を考え、関係者を巻き込みながら解決に向けて自ら行動した実績があることを、面接官に説明してください。
なお、都庁の仕事に関しては、一人で課題を解決できることはあまりありません。
自分が分からないことを同僚や先輩に聞いたり、上司に相談することも必要ですし、仕事の規模が大きくなるに従い、都庁内の他部門や、国、民間企業、他の自治体などとの連携も必要になってきます。
また、管理職になれば人に指示して動いてもらう立場になりますが、採用されてから当面は自分で動く必要があります。したがって、課題解決にあたっては、人に指示するばかりでなく、自ら行動できる人材であることが大切です。
「〇〇でリーダーでした」というだけでは面接官は納得しないし、逆にリーダーの役割でなくても、自分の役割を通して積極的に組織に貢献できる人材であれば、そのほうが評価されます。
採用後は、若手職員主体でプロジェクトチームや勉強会を立ち上げることもよくあります。そうした経験があるなら話すとよいでしょう。
また、過去どうだったかという質問だけでなく、面接の場面で課題を投げかけて受験生を試すこともあります。
その場合は、困難に向き合い、自分なりに考えることができる人材か否か試しているので、問われていることから逃げたり、答えをごまかしたりしてはいけません。
実際の職場でも、上司からの質問にはっきり答えなかったり、正確な情報を伝えずにごまかしたりされると、上司としては適切な判断が難しくなり、非常に困ります。
面接の場面で課題を投げかける場合には、例えば一般的な質問として、「夜、友人と約束があるときに、残業をしてほしいと上司から言われたらどうするか」というものが考えられます。
いくつかのケースに分けて、「この場合はこうする」と答えたほうが、課題解決力のあることを示すことができます。
あるいは、受験生が興味を持っている政策を挙げさせたうえで、その政策を題材に、受験生の課題解決能力を試すこともあります。
また、面接官のほうから、「こういう政策があるが、あなたはどう考えるか」と聞かれることもあるでしょう。
都庁の面接は、試験案内にあるように、人物についての試験であり、知識の有無を試しているわけではありません。仮にその政策を詳しく知らなくても慌てる必要はありません。
受験生が都政の動き全てについて把握していることは、期待されていません。職員ですら、自分の所属局以外の動きを詳細に把握しているわけではありません。
見栄を張って「知っている」と答えると、その政策についての詳細な議論に入ると苦しくなってしまいます。
むしろ、知らないことに対してでも、自分なりに考えながら、何らかの答えを導き出す力があることをアピールするくらいのつもりでよいのです。
ただし、自分が関心のある分野については、ある程度、都政の動きを勉強しておくことをお勧めします。知識の有無の問題ではなく、何を基準として就職先を選んでいるのかという姿勢に関わるためです。
通年学習から直前期対策までを見据えた