公務員になれば当面は同期と横並びで、給料、昇進の差もあまりないだろうとの印象を持っている方もいるかもしれません。
都庁では採用の入り口で幹部候補などの仕分けをしていないため、入都後の選抜時期はかえって早まります。
以下は、入都後10年目あたりまでに、同期との間で差がついてくる項目です。年次は1類B(学部卒)をモデルとしています。
以下は、入都後10年目あたりまでに、同期との間で差がついてくる項目です。年次は1類B(学部卒)をモデルとしています。
1年目
ボーナス(勤勉手当)の支給月数
以降、毎年
2年目
ボーナス(勤勉手当)の支給月数
以降、毎年
2年目
定期昇給幅(標準~最上位)
以降、毎年
3年目
人事異動先
(本庁か出先か。本庁のどの部署か)
5年目
主任試験
(合格率3割弱。一発合格組は2割程度か)
6年目
同期の2割程度が主任に昇任
(主任昇任時の異動先は本庁か出先か)
7年目
管理職試験A
(主任2年目以降で受験資格。合格率1割
程度)
8年目
管A合格者が課長代理級に昇任
(中央省庁、大手企業等へ出向)
9年目
管A合格者が本庁課長代理に就任
このあたりから同期と上司・部下の関係に
なる可能性あり
11年目
管Aに通っていない主任が、この頃から
課長代理に昇任開始
13年目
管A合格者が課長級に昇任
大学進学、入都、主任試験、管理職試験を全てストレートで、最短の35歳で課長になるのは毎年数名程度です。
なお、入都13年目での一般的な役職は、課長代理(旧・担当係長)か主任です。もっとも、主任試験に合格していることが前提ですので、自動的に主任、課長代理と昇任できるわけではありません。
また、2年目以降の定期昇給幅については、本人以外には開示されません。このため、この時点では、同期の間で差がついているかどうか互いには認識されません。
評価に差が付いていることが互いに認識されるのは、概ね3年目以降で人事異動を迎え、誰がどの部署に異動するか公表されるときです。
主任試験以降は、役職、およびそれに伴う月給・ボーナス額にも同期の間で差がつきはじめます。
人事当局が、若いうちからこれだけ役職、給料に差がつくように人事制度を設計・運用していることからも分かるように、当局は職員間での競争(切磋琢磨)を推奨しています。
特に、入都1年目からボーナスの支給月数で差が出るというのは、公務員組織としては厳しいようにも見えますが、初めからのんびり構える習慣を付けてほしくない、という人事当局の意向の表れです。
人事当局がどのような人材を求めているか、この点は受験生の方にも参考となります。
特に、入都1年目からボーナスの支給月数で差が出るというのは、公務員組織としては厳しいようにも見えますが、初めからのんびり構える習慣を付けてほしくない、という人事当局の意向の表れです。
人事当局がどのような人材を求めているか、この点は受験生の方にも参考となります。
必ずしも出世競争ではありませんが、少なくとも仕事の質や成果、人材としての成長において、切磋琢磨してほしいということです。
採用後に悪い意味で「落ち着いて」しまいそうな人材は採りたくないということになります。
ところで、政府も労働生産性向上の観点から、年功序列賃金を見直していく方針を打ち出しています。
社会全体で見ても、若者が少なく、年齢が高い世代ほど人数が多い状況が長期的に続き、年功序列型の制度は持続不可能です。
これまでは年数が経過すれば職務能力が向上していると「見なし」て、役職や給料を上げてきました。
本当に能力が向上し、自分の給料以上の利益を組織にもたらしているのであれば、組織としても高い給料を支払うことに異存はありません。
しかし、そうでなければ、他の誰か(若い社員)がベテラン社員に支払う給料の原資を稼がなくてはいけません。近年は、大企業も役所もその余裕を徐々に失っています。
今後政府は、先ず隗より始めよで国家公務員給与の構造見直しを進めていくことも想定されますし、民間企業への働きかけを通じて、結果的に(民間平均が考慮される)公務員給与へ跳ね返ってくることも想定されます。
年功序列型の給与システムは、法律で義務付けられているわけではなく、大企業、役所等で事実上そうなっている慣例にすぎません。
年功序列、終身雇用、新卒一括採用は、第二次大戦時に始まり、戦後に確立した雇用慣行とされ、せいぜい数十年の「伝統」しかありません。振り返って考えれば、そうした慣行がこれからも永続すると期待できるほどの歴史もありません。
年功序列で賃金、役職が上がることをあてにしていた40代、50代の世代にとっては不運かもしれませんが、これから社会に出る若い世代にとっては、それを前提にキャリアパスを考える機会が与えられている分、幸運かもしれません。
成果主義型賃金の導入で、ベテラン層の給料は基本的に現状より下がります。
営業職など成果を測りやすい職種なら、一念発起して結果を出せば、元の給料かそれ以上を狙えるかもしれません。
一方、40代、50代で役職に就いていない事務職の場合、大きな成果を出して逆転ということは、まず狙えません。給料減を甘受するほかないでしょう。
これからは、どこに就職するかも大切ですが、就職後にどのように働くか、どのようなキャリア、立ち位置を積み上げていくかが一層大切になってきます。
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