就職後に自分の稼ぎで生活していくとなると、結局どれくらいもらえるのか、気になるところと思います。
初任給は、I類Bで大学新卒者(職歴なし)の場合、月額217,400円となっています。(地域手当を含む)
http://www.saiyou2.metro.tokyo.jp/pc/training/welfare.html
近年、人事当局が昇給カーブのフラット化(ベテランの給与を下げ、若手の給与を上げる)に取り組んでいるため、初任給も徐々に切り上がっています。
後述の住居手当も含めると、一昔前なら3年目職員に相当する給与を、初年度からもらえる水準です。
これから都庁に入る方にとっては、若手の給与が増えるのは好ましいことです。一方で、ベテラン層の給与は全般に抑えられていますが、これは退職金の額にも影響します。
かつては、低い給料からスタートする代わりに、概ね全員がいつかは高い給料をもらえるという給与制度でした。
現在は、(以前と比べて)高めの給料からスタートし、そこから昇給を続けられるか、ある程度のところで頭打ちになるか、各職員の業績・キャリアによって異なるという制度に向かっています。
都庁では先行して舵を切っていますが、総務省の方針を見ても、こうした方向性は公務員給与制度の既定路線です。今は年功序列が色濃い制度を維持している自治体でも、遅かれ早かれ変革を迫られる時がきます。
都庁の初任給に関しては、大手民間企業とそれほど変わりません。人材確保の観点から、公務員とはいえあまり低くはできないということでしょう。
国家総合職との比較では、「本府省業務調整手当(4,400円)」を含めると、都庁のほうがやや下回りますが、概ね同水準といえます。(霞が関は、都庁本庁と比べても相当な激務です。月4,400円の手当で報われるとはとても思えませんが、将来含みで若いうちは我慢というところです)
職歴がある場合は、公務との関連性に応じた補正率を掛けた上で、勤務年数相当分が加算されます。
さらに、一人暮らしなどで賃貸住宅に住んでいる場合は、住居手当15,000円(定額)が支給されます。
※34歳までの年齢制限あり。
超過勤務手当(残業代)については、配属される部署によってかなり異なります。
残業時間は、本庁では平均的には月20時間くらいです。多いところだと月50時間を超えます。
月100時間クラスの部署も中にはありますが、新規採用職員が配属されることはありません。
月100時間の残業になると、本給+残業代で月給が約2倍になるイメージです。もっとも、個人的な経験では、100時間まで行かなくても、80時間を超えるような月が続くと、「お金はもういいから、早く帰りたい」という心境になります。
出先(典型的には都税事務所)では、平均的には月ゼロ~数時間くらいです。ただし、特定の忙しい時期や、強化月間で夜間や休日に取組を行うこともありますので、年に1、2回は月10~20時間の残業となることもあります。
本庁の一般的な部署では、週1回のノー残業デーは定時で帰り、それ以外の日は午後7時くらいまでというイメージでしょう。これは本庁の中ではそれほど忙しくない部署のイメージです。
出先でも、少人数で一人何役もこなしている事務所の場合は、これくらいの忙しさになるケースもあります。
本庁の忙し目の部署では、ノー残業デー以外は、午後9時くらいまで残業する感じです。(業務量は時期によって変動するため、年中帰りが遅いということは通常ありません)
更に激務の部署は存在しますが、最初の配属先に選ばれるような部署の忙しさは、このあたりまでではないでしょうか。
特に激務と言われる部署への異動は、本人の意向や健康状態、家庭の事情なども配慮され、本人の意に反してまで配属されることはありません。意欲ある職員が自ら手を挙げて、あるいは上司から勧められて異動を希望するケースがほとんどと思います。
残業代のベース単価は、I類B新卒の場合、1,800円/時間くらいになりますので、本庁では、平均的には月35,000円、忙しい部署だと90,000円。出先だと、月0円~10,000円くらいです。
(なお、深夜や月60時間超の残業には割増単価が適用されます)
以上の本給、住居手当、残業手当を合計すると、本庁の場合、平均的には月267,400円、忙しい部署だと322,400円。出先で、232,400円~242,400円となります。
忙しい部署に配属されると慣れるまでは体力、生活リズムの面で大変ですが、初任給の所得水準で毎月の手取りが7~8万円余分にあるというのは金銭的にはかなりの違いを生みます(特に一人暮らしの場合)。
ところで、入都にあたってマンション・アパートを探す場合もあると思います。
入都前の段階では、具体的な配属先(勤務地)はまだ発表されていないはずで、エリアを決めるのも悩ましいところですが、金銭面でも、残業代はこれくらいになるだろうという当てがはずれることもあり、物件選びには注意が必要です。
残業の量は部署や時期によって偏りが大きいため、「平均」の残業代はもらえることを前提に意思決定を行うのは危険です。
「自分が仕事を頑張れば自然と残業が増えるのでは」と考える方もいるかもしれません。確かにそういう側面もありますが、基本的に残業は上司の職務命令に基づいて行うもので、職員が自由に増やせるものではありません。
組織の超過勤務削減目標の都合、予算の都合で、一定以上の残業をさせない部署もあります。(上司の組織運営責任が問われるため、時間になると「今日はもう帰りなさい」と上司が部下を追い出すことも)
東京近辺に実家がない、物理的に同居ができないなどの場合は、ある程度優先して職員住宅に入れると思いますが、所在地がかなり遠方だったりしますので、これは個人のライフスタイル選択の問題と思います。
知り合いが増えるというメリットもあるため、職員住宅にまずは入ってみるという手もあります。
なお、中央省庁の場合でも、千葉や埼玉の官舎から霞が関まで通っている若手職員は大勢います。
ボーナスは、年間で概ね4.30月分を支給となっています。ただし、新規採用の場合は、前年度の1月~3月分が加算されないため、採用初年度の支給額は概ね3.18月分です。(「概ね」とあるのは、個人の勤務成績に応じて多少変動するためです)
以上から計算すると、Ⅰ類B新卒の場合の年収は、約348万円+残業代(10万円~100万円)くらいです。(実家住まいなど、住居手当の支給がない場合は、18万円差し引いてください)
ここから所得税と、健康保険、年金掛金などが差し引かれ、手取り額はもう少し低くなります。(入都前年の所得がなければ、住民税は2年目から天引き開始)
多くのケースでは、2年目から住民税の天引きが始まります。筆者が入都したころは住民税の税率が今の半分でしたが(その分、国税の所得税が高かった)、それでも手取りベースでは定期昇給分が帳消しになるくらいの影響がありました。
当時と比べれば住民税の税率は2倍になっているので、定期昇給分を考慮しても、天引き後の月給手取りは1年目より下がると思われます。(ボーナスの手取りは単純に増額です)
もっとも、これは税金を納める時期が異なることによる心理的なものです。昔に比べて住民税が上がったのと同じだけ、(1年目から天引きされる)所得税が減税されています。また、初任給の水準自体が当時より上がっています。今の若手世代が損をしているわけではありません。
なお、採用当初は基本的に給料も人事評価も横並びですが、いずれも2年目から、同期の間でも差がつき始めます。本人以外には開示されないため、同期でもお互いには気付かないのですが、最上位、上位、中位などと勤務成績、昇給に差をつけられます。
勤務成績のシビアなところは、年度ごとにリセットされるのではなく、履歴として蓄積していくことです。昇進や人事異動での選抜にあたっては、過去数年分が考慮されます。したがって、入都初年度は慣らし運転でいいと気を抜くべきではありません。
拙著『本音の都庁インサイト』(平成28年度版)では、この点の詳細やシミュレーション事例等を紹介していますので併せてご参照ください。
初任給は、I類Bで大学新卒者(職歴なし)の場合、月額217,400円となっています。(地域手当を含む)
http://www.saiyou2.metro.tokyo.jp/pc/training/welfare.html
近年、人事当局が昇給カーブのフラット化(ベテランの給与を下げ、若手の給与を上げる)に取り組んでいるため、初任給も徐々に切り上がっています。
後述の住居手当も含めると、一昔前なら3年目職員に相当する給与を、初年度からもらえる水準です。
これから都庁に入る方にとっては、若手の給与が増えるのは好ましいことです。一方で、ベテラン層の給与は全般に抑えられていますが、これは退職金の額にも影響します。
かつては、低い給料からスタートする代わりに、概ね全員がいつかは高い給料をもらえるという給与制度でした。
現在は、(以前と比べて)高めの給料からスタートし、そこから昇給を続けられるか、ある程度のところで頭打ちになるか、各職員の業績・キャリアによって異なるという制度に向かっています。
都庁では先行して舵を切っていますが、総務省の方針を見ても、こうした方向性は公務員給与制度の既定路線です。今は年功序列が色濃い制度を維持している自治体でも、遅かれ早かれ変革を迫られる時がきます。
都庁の初任給に関しては、大手民間企業とそれほど変わりません。人材確保の観点から、公務員とはいえあまり低くはできないということでしょう。
国家総合職との比較では、「本府省業務調整手当(4,400円)」を含めると、都庁のほうがやや下回りますが、概ね同水準といえます。(霞が関は、都庁本庁と比べても相当な激務です。月4,400円の手当で報われるとはとても思えませんが、将来含みで若いうちは我慢というところです)
職歴がある場合は、公務との関連性に応じた補正率を掛けた上で、勤務年数相当分が加算されます。
さらに、一人暮らしなどで賃貸住宅に住んでいる場合は、住居手当15,000円(定額)が支給されます。
※34歳までの年齢制限あり。
超過勤務手当(残業代)については、配属される部署によってかなり異なります。
残業時間は、本庁では平均的には月20時間くらいです。多いところだと月50時間を超えます。
月100時間クラスの部署も中にはありますが、新規採用職員が配属されることはありません。
月100時間の残業になると、本給+残業代で月給が約2倍になるイメージです。もっとも、個人的な経験では、100時間まで行かなくても、80時間を超えるような月が続くと、「お金はもういいから、早く帰りたい」という心境になります。
出先(典型的には都税事務所)では、平均的には月ゼロ~数時間くらいです。ただし、特定の忙しい時期や、強化月間で夜間や休日に取組を行うこともありますので、年に1、2回は月10~20時間の残業となることもあります。
本庁の一般的な部署では、週1回のノー残業デーは定時で帰り、それ以外の日は午後7時くらいまでというイメージでしょう。これは本庁の中ではそれほど忙しくない部署のイメージです。
出先でも、少人数で一人何役もこなしている事務所の場合は、これくらいの忙しさになるケースもあります。
本庁の忙し目の部署では、ノー残業デー以外は、午後9時くらいまで残業する感じです。(業務量は時期によって変動するため、年中帰りが遅いということは通常ありません)
更に激務の部署は存在しますが、最初の配属先に選ばれるような部署の忙しさは、このあたりまでではないでしょうか。
特に激務と言われる部署への異動は、本人の意向や健康状態、家庭の事情なども配慮され、本人の意に反してまで配属されることはありません。意欲ある職員が自ら手を挙げて、あるいは上司から勧められて異動を希望するケースがほとんどと思います。
残業代のベース単価は、I類B新卒の場合、1,800円/時間くらいになりますので、本庁では、平均的には月35,000円、忙しい部署だと90,000円。出先だと、月0円~10,000円くらいです。
(なお、深夜や月60時間超の残業には割増単価が適用されます)
以上の本給、住居手当、残業手当を合計すると、本庁の場合、平均的には月267,400円、忙しい部署だと322,400円。出先で、232,400円~242,400円となります。
忙しい部署に配属されると慣れるまでは体力、生活リズムの面で大変ですが、初任給の所得水準で毎月の手取りが7~8万円余分にあるというのは金銭的にはかなりの違いを生みます(特に一人暮らしの場合)。
ところで、入都にあたってマンション・アパートを探す場合もあると思います。
入都前の段階では、具体的な配属先(勤務地)はまだ発表されていないはずで、エリアを決めるのも悩ましいところですが、金銭面でも、残業代はこれくらいになるだろうという当てがはずれることもあり、物件選びには注意が必要です。
残業の量は部署や時期によって偏りが大きいため、「平均」の残業代はもらえることを前提に意思決定を行うのは危険です。
「自分が仕事を頑張れば自然と残業が増えるのでは」と考える方もいるかもしれません。確かにそういう側面もありますが、基本的に残業は上司の職務命令に基づいて行うもので、職員が自由に増やせるものではありません。
組織の超過勤務削減目標の都合、予算の都合で、一定以上の残業をさせない部署もあります。(上司の組織運営責任が問われるため、時間になると「今日はもう帰りなさい」と上司が部下を追い出すことも)
東京近辺に実家がない、物理的に同居ができないなどの場合は、ある程度優先して職員住宅に入れると思いますが、所在地がかなり遠方だったりしますので、これは個人のライフスタイル選択の問題と思います。
知り合いが増えるというメリットもあるため、職員住宅にまずは入ってみるという手もあります。
なお、中央省庁の場合でも、千葉や埼玉の官舎から霞が関まで通っている若手職員は大勢います。
ボーナスは、年間で概ね4.30月分を支給となっています。ただし、新規採用の場合は、前年度の1月~3月分が加算されないため、採用初年度の支給額は概ね3.18月分です。(「概ね」とあるのは、個人の勤務成績に応じて多少変動するためです)
以上から計算すると、Ⅰ類B新卒の場合の年収は、約348万円+残業代(10万円~100万円)くらいです。(実家住まいなど、住居手当の支給がない場合は、18万円差し引いてください)
ここから所得税と、健康保険、年金掛金などが差し引かれ、手取り額はもう少し低くなります。(入都前年の所得がなければ、住民税は2年目から天引き開始)
多くのケースでは、2年目から住民税の天引きが始まります。筆者が入都したころは住民税の税率が今の半分でしたが(その分、国税の所得税が高かった)、それでも手取りベースでは定期昇給分が帳消しになるくらいの影響がありました。
当時と比べれば住民税の税率は2倍になっているので、定期昇給分を考慮しても、天引き後の月給手取りは1年目より下がると思われます。(ボーナスの手取りは単純に増額です)
もっとも、これは税金を納める時期が異なることによる心理的なものです。昔に比べて住民税が上がったのと同じだけ、(1年目から天引きされる)所得税が減税されています。また、初任給の水準自体が当時より上がっています。今の若手世代が損をしているわけではありません。
なお、採用当初は基本的に給料も人事評価も横並びですが、いずれも2年目から、同期の間でも差がつき始めます。本人以外には開示されないため、同期でもお互いには気付かないのですが、最上位、上位、中位などと勤務成績、昇給に差をつけられます。
勤務成績のシビアなところは、年度ごとにリセットされるのではなく、履歴として蓄積していくことです。昇進や人事異動での選抜にあたっては、過去数年分が考慮されます。したがって、入都初年度は慣らし運転でいいと気を抜くべきではありません。
拙著『本音の都庁インサイト』(平成28年度版)では、この点の詳細やシミュレーション事例等を紹介していますので併せてご参照ください。
通年学習から直前期対策までを見据えた
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