来年度から都庁に入る方に向けて

都庁の合格発表を受けて、入都の意志を既に固めた方もいらっしゃると思います。

現在、都庁上層部での意思決定のあり方など、様々に報道されていますが、新体制の下で、都庁の次世代を担う若手人材、殊にこれから都庁に入る方への期待は一層大きくなるでしょう。

学生の方は、大学の勉強や様々な活動など、まだやるべきことがあるかもしれませんが、就職活動という心身の負担が大きい局面を終えた方は、今のうちに英気を養っておく、旅行が好きな方であれば長期の海外旅行を計画するなど、まとまった期間を要することを今のうちに行うことをお勧めします。

来年度の4月からスムーズに始動できるよう、今はまず静養、その後に就職後の準備(ウォームアップ)をしておきましょう。
公務員といえども、就職後の実質的な選抜(評判の形成)は早いです。

世界有数の大都市を所管する都庁を目指し、難関の試験を突破した以上は、このような仕事に携わりたい、このようなキャリアを歩みたいという思いがあると思います。

採用案内のパンフレットなどには、政策立案、大規模事業、国際業務に携わる機会があると紹介されていることがあります。この点に誤りはありません。

もっとも、順番に回ってくる、全員一度は経験できるという意味に捉えているとしたら、それは誤解です。採用順位や採用区分にかかわらず、全員に門戸が開かれているとの意味です。

それにふさわしい人材であることを、現在与えられた職務(勤務評定など)を通じて、また、未経験の分野を志望する場合は、将来必要となるスキルを身に付けるなど自己研鑽を通じて示す必要があります。

公務員をはじめ、伝統的な大組織においては、採用から何年目までは横並びと言われることがありますが、これは当面の役職や給与など、目に見える形では差を付けないというだけです。人材の評価(選抜)は水面下で行われています。

初めの人事異動や主任試験の時期に、異動希望の成否、試験の合否という形で、その時点での評価の違いが明らかになりますが、これは、それまでに積み上げられた差が表面化したにすぎません。

主任試験で言えば、対象となる入都5年目の仕事の頑張りや、試験当日の出来のみで合否が決まるわけではなく、入都後の積み重ねに応じて合格のしやすさが左右されます。
※1類Aの場合は、入都3年目が対象

また、主任試験合格後、主任としてどのような場での活躍が期待されるかは、それまでどのような職務の経験を積んできたかに応じて、概ね方向が決まります。改めて横一線でキャリア形成が始まるわけではありません。

ひとまず就職できた安心感もあり、就職後の初めはゆっくりしたい気持ちは理解できます。組織の側でもあまり初めから厳しくするのは気が引けるため、自主性を尊重してくれるかもしれません。

しかし、そこで、「叱られない程度にやればよい」、「まだ新人なのだから、2年目から本気でやればよい」と気を抜いていると、「どうしてもあの部署に異動したい」との思いで頑張っている同期に知らないうちに差を付けられていることもあります。

2年目を迎えれば自動的に、より難易度の高い業務を任せてもらえるとは限りません。「卒業」の水準に達していないと判断された場合、居残り勉強をさせられるかもしれません。

もちろん、働き方、キャリア形成の考え方は人それぞれですが、いずれは都庁の中でも難易度の高い業務、責任ある職に就きたいと考えている方の場合は、新人だからとのんびり構えることはできないと認識していただきたいと思います。

もっとも、即戦力であることや完璧に仕事をこなせることは求められていません。早く職場の戦力となれるように頑張る、一通り仕事を覚えたら自分なりのプラスアルファを目指すといった、取組姿勢のほうが大切です。

まずは力を尽くして、その後で、これは自分の望む働き方ではない、目指すキャリアパスではないと考えるなら、少しペースを落とす、あるいは降りることは可能です。しかし、その逆は非常に困難です。

都庁の「理解度」でライバルに差をつけるために
本当の都庁の姿、都庁の仕事、組織が職員に求めている本音を理解し、正しい方向で採用試験、就職後の選抜に向けた準備を進める