「人物について」とは、単なる性格や人柄を見ているわけではありません。
能力が同等であれば、部下として、または同僚として一緒に働きやすい人、いわゆる'いい人'が選ばれるかもしれませんが、性格、人柄は人材評価の第一条件ではありません。
「人物について」とあるのは、筆記試験のように知識の有無を検証しているわけではないということです。面接官との質疑を通じ、将来の都庁を支える人材としての総合的な基礎力が備わっているかが試されていると考えればよいでしょう。
「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」と言います。
就職活動では、「己を知る」に関しては自己分析でかなり掘り下げている方が多いようですが、「敵を知る」に関しては知る対象がズレているケースも見受けられます。
都庁の取組や課題について知っていることが「敵を知る」ではありません。就職活動において「敵を知る」とは、相手がどのような人材を欲しているか(相手のニーズ)に尽きます。
組織が欲している人材とは、簡単に言えば、就職後にそれぞれの持ち場で活躍してくれる人材、さらに将来の幹部、中核職員となりうる人材です。
ここから逆算して、自分のスキル、経歴、志向などの中から、何をどのようにアピールすれば効果的か選択しなければなりません。
既に身に付けたスキル・能力(基礎力)が、都庁の人事当局が求める要素と合致しているなら、それを効果的に面接官に伝えることに留意すればよいでしょう。
ただし、面接官に「伝える」ことの最終目的は、自分は採用されるにふさわしい人材であると相手に納得してもらうことです。「上手く話すこと」が目的とならないよう注意が必要です。
例えるなら、職員として住民説明会で発表を行う立場になったとすれば、素晴らしいプレゼンを披露することが目的ではありません。「都の言い分はもっともだ」「施策について抱いていた不安が和らいだ」と参加者に実感してもらうことが目的です。
一方、基礎力として不足する要素がある場合は、それを克服すべく努力していること、努力を続ける意欲があることを伝える必要があります。
ただし、「就職後に頑張ります」といった口約束だけでは、人材評価の判断材料としてカウントされません。面接で検証できなかった能力等については、他の受験生との公平性の観点からも、無いものとして判断せざるを得ません。
また、近年、「新方式」(公務員試験特有の知識不要)の採用枠が拡大された点に採用当局の意向が表れていますが、都庁の政策について詳しく知っていること(知識)自体は、大したアピールになりません。
都の既存施策は将来にわたり妥当であるとは限らず、また、就職後、職務で既存施策に関する知識が必要となれば、ネットでも文献でもいくらでも調べられます。
都政に関する知識があるに越したことはありませんが、それを踏まえて、自分が職員となったら何をどのようにしたいのかが大切です。
例えば、ある商品やサービスに関して、それが好きだとか、詳しく知っているという方は、評論家やファンにもいます。
その組織への就職を希望する場合は、商品、サービスの提供側としての当事者意識を持っていることが重要です。
通年学習から直前期対策までを見据えた