「チャレンジ精神」を備えていることを面接官に伝える必要があります。
都政を見渡せば、未解決の都市の問題、課題は数多くあります。現時点では顕在化していない、未来の課題もあるでしょう。つまり、意欲ある職員に任せたい難易度の高い業務は、都庁にはいくらでもあります。
また、ある業務に関して、従来のマニュアルどおり行うのは簡単でも、マニュアルそのものを改善し、新しいやり方を職員に浸透させるのは難易度が高いケースもあります。
誰かがこうした役割を引き受けないと、都市問題の解決や、各職場での業務改善を図ることはできません。
組織としては、「自分が引き受ける」と手を挙げてくれる人材、あるいは、特に指名しなくても自然に実践してくれる人材がありがたいのです。
一方、そうした役割を打診されたとしても、「目の前の仕事が十分できるようになってからにしたい。今は遠慮したい」と回避するタイプは、若手職員としては物足りないとの評価となります。上司も、初めはできない、難しいのは分かったうえで、成長の機会を与えているつもりなのですが。
こうした基礎力、潜在能力を検証する手段として、面接官は、学校の勉強、ゼミ、アルバイト、サークル、部活、あるいは前職に関して、受験生がどのように困難に立ち向かったか、現状の改善に努めたか質問します。
大きな話でなくても構いません。事務的な作業の効率化や、試合に勝つためにどのように工夫をしたか、といった話で大丈夫です。
普通なら従来どおり、人に指示されたとおりに進めそうなところを、何か改善できないかと問題意識を持ち、改善策を考え提案した、改善に向けて行動した、などです。
苦労しながら新しいことに取り組んだ経験も良いでしょう。
まずは、この1年間を振り返って、自分の行動をリストアップしてみてください。
来年度以降の受験生の場合は、自らの行動を振り返り、チャレンジ精神を発揮したと言えるものが少ないと感じるのであれば、「高く評価されている若手職員であれば、この場面でどう行動するだろうか」という視点で、日々の行動、言動から少しずつ改善を図りましょう。
「就職のために自分を変える必要があるのだろうか」と思うことがあるかもしれません。
変える必要があるのは、職業人としてのスキル、習慣に通じる部分です。性格を変えるといったことではありません。
組織に入ってからも、自分が先輩になったら、課長代理になったら、課長になったら、と仕事の進め方や視点を変えていかないとうまくいきません。「ここを改善してほしい、変えてほしい」と上司からはっきり要請されることもあるでしょう。
チャレンジ精神は、新任職員をはじめ、発想の柔軟な若手職員に、特に期待されていることです。
能率的に淡々と事務をこなす人材も組織には必要ですが、それだけでは優先的に採りたい人材との評価を得ることはできません。
単に上司や先輩に言われたことをこなすだけの人材ではなく、自分から工夫して、周りの人に提案し、周囲を巻き込んで変化をもたらすことができる人であると面接官を納得させてください。
面接官を納得させるためには、将来都庁に入ってから頑張ると発言するだけでは足りません。
勉強、部活、サークル、バイトの話でもよいので、これまでの実績を具体的に話す必要があります。
どのような問題があると気付いたのか、どのように周りに働きかけたのか、周りの反応はどうだったのか、どのように反対者を説得したのか、結果はどうだったか、何を学んだのか、次回取り組むならどうすべきか、などです。
また、実績を示す際には、単発の出来事よりも、継続して取り組んでいることのほうが望ましいです。
なお、面接試験では、評価項目を一つずつチェックする時間はありません。「チャレンジ精神」があるかどうかを確認する過程で、受験生の説明の仕方を通じて、表現力や論理性なども同時に検証されています。
事前に用意した答えをそのまま話すのではなく、何を答えてほしいと問われたかに留意しながら、簡潔な回答を心掛けることが大切です。
通年学習から直前期対策までを見据えた