単なる指示待ち人材ではなく、自ら目的意識を持って、自分から情報を取りに行き、自分で考えることができる人材です。
与えられた職務を淡々と遂行するだけでは、既存の施策を改善することも、都市が直面する未曽有の課題に対応することもできません。
そして、そうした人材か否かは、面接試験においても評価基準の一つとして審査されることになります。
都の職員は形式的には知事の「補助機関」です。しかし、組織の上層部から末端まで、知事がこと細かに指示を与えるのは不可能です。
形の上では職員は「裏方」ですが、各部門、各職場単位で見れば、職員の誰かがリーダーシップを取る必要があります。全員が「裏方」の意識では、組織運営が成り立ちません。
強みは人それぞれですから、実質的リーダーは役職上位者とは限りません。職場の業務改善を提案する、ITを活用した効率化を牽引するなど、若手ならではの問題意識を持ってリーダーシップを発揮することも可能です。むしろ、それが望まれています。
縁の下の力持ちとして、指示されたことを正確にこなす必要がある局面もあります。しかし、そうした役割だけを望むタイプだと表明しては、優先的に採用したい人材と認識してもらえません。都庁職員が携わる職務は、いわゆる事務作業だけではありません。
また、「東京をこのような都市にしたい」「都庁の仕事を通してこのような人材になりたい」といった志や問題意識がなければ、中長期的に仕事に対する熱意を保つのは難しいという側面もあります。仕事や人間関係で困難に直面する時期もあるためです。
ここで高評価を得るためには、「問題意識」を有することを明確に示すことが必要です。
例えば、面接では
・ なぜ都の職員になりたいのか
・ 中長期的に、都庁で何を達成したいのか
・ 携わりたい分野・業務
・ 都市開発や都市文化、都市問題などへの高い関心
などについて答えるわけですが、口で言っているだけではなく、受験生が本当にそう思っているかどうかは、受験生のこれまでの行動を検証すれば分かります。
つまり、本当に問題意識が高い人材であれば、その問題意識が過去の進路選択や日々の取組などにも表れているはずです。(いわゆるコンピテンシー)
これらに関する受け答えの中で面接官を納得させることができれば、高い問題意識を有する人材であるという評価基準をクリアできます。
一方、これまでの経歴や専攻、活動などが、都職員として働くこと、都庁で携わりたい分野と関連が薄いと判断された場合は、そのつながりや、方針転換に至った経緯を説明する必要があります。
そうでなければ、面接のための答えを用意して内定がほしいだけ、と判断されかねません。「人物の審査」を行う都庁の面接では、受験生の個別の回答を採点しているわけではありません。
単に都政や都市問題に関心があるというだけでなく、なぜそれを職業にしたいと考えるに至ったかが大切です。
なお、別記事で評価基準について引き続き解説を行いますが、特定の要素(強み)で一点突破を図らないよう注意してください。
都が求める人材像のうち、どれか一つを満たせば合格というわけではありません。
都の採用試験は、あくまでも実務家(組織の一員)の登用試験です。ある要素で特に強みがあるのは素晴らしいことですが、その他の要素についても一定の水準を超える必要があります。
通年学習から直前期対策までを見据えた