都庁では、平成28年10月から「20時完全退庁」の取組を実施しています。
導入開始1か月間の状況報告によると、本庁職員の約9割は20時30分までに退庁したとあります。(※ カードタッチ記録による)
職員に退庁を促す取組のひとつとして、
17時45分 定時チャイム
20時00分 「20時退庁」を知らせる放送
20時15分 15分おきに全庁一斉消灯(20時45分まで)
というものが実施されています。
節電のために一旦消灯され、必要な部分だけ再点灯する取組は以前からありましたが、15分おきに電気を何度も消されると、もう帰ろうかという気になるかもしれません。追い出しのようです。
(当該取組を知らない方が都庁舎の外から見れば、電気を消したり点けたり、何をやっているのかと不思議に感じるかもしれません)
一方、同報告によると、20時30分以降も残業したのは本庁職員の1割(期間平均)で、平均退庁時間は22時40分。
この平均退庁時間だと月100時間残業のペースですが、ここまで多忙な部署は都庁の本庁でも少数です。
知事の方針で残業縮減が図られているところですが、行政としてワークライフ・バランスを提唱していることもあり、都庁では、仕事と休暇のメリハリをつけることが推奨されています。
〇夏季休暇
夏季休暇(夏休)は、7月~9月の間に5日間取ることができます。連続取得が推奨されているため、前後の土日を合わせて9連休にするのもよくあるケースです。
また、土日を合わせて4連休と5連休に分けて、あえて別の時期に取得することもできますので、旅行に一回、帰省に一回といった使い方をしている職員もいます。
なお、夏季休暇については、5日すべて取得することが組織として推進されています。日数が残っていると、ちゃんと消化するようにと総務担当から指摘されるくらいです。
部下が夏季休暇を全部消化していない場合、管理職の監督責任が問われる(自分の勤務評定にマイナス)こともあり、夏季休暇の取得はかなり徹底しています。
なお、民間企業では、夏季休暇はお盆の時期と決まっている企業もあるようです。ある程度自由に取得時期を選択できるのは、都庁の良いところです。旅行、帰省の時期を検討する際、混雑期を避けることができます。
〇年次有給休暇
年次有給休暇(年休)については、年間20日が付与されます。
「平成27年度 東京都人事行政の運営等の状況」によると、都庁職員の平均取得日数は、
知事部局 13.8日
交通局 17.7日
水道局 17.5日
などとなっています。(なお、警視庁 4.5日、東京消防庁 12.6日)
民間企業の場合は、「平成27.年度 就労条件総合調査」(厚生労働省)によると、平均8.8日です。
都庁の平均年休取得日数から考えれば、一般的には、民間企業と比べてワークライフ・バランスを図りやすい環境にあるといえるでしょう。
なお、上記はあくまでも平均の数値です。都庁職員の多くは出先に配属されているため、平均の数値を持ち上げる形になっていると思われます。新宿の本庁で勤務している職員の場合は、上記平均よりも少ない傾向にあります。
本庁の多忙部署など、職員によっては10日未満というケースもありますが、年休を計画的にあえて取得しようとするかどうか、個人の意志の問題によるところもあります。連続休暇はGW、夏休、年末年始で十分というタイプの職員もいるためです。
また、年休は悪だとか、休むと居場所がなくなる、といった雰囲気は、近年の都庁ではまず感じることはないでしょう。ただし部署によって忙しい時期は異なるため、休むタイミングについては配慮が必要です。
〇年末年始
年末年始については、12月29日~1月3日の6日間が閉庁日となります。あとは土日の並びにもよりますが、年休を追加して連続休暇を取得することも可能です。
〇ゴールデンウィーク
GWについては、なか日の平日を交代で休むようにするケースが多いです。もっとも、全員が長い連休にしたいわけでもないため、他の誰かが出勤するのであれば、10日間くらいの連休にしてしまうことも可能です。
以上のように、都庁職員には、GW、夏季休暇、年末年始の年3回は、6日~10日連続して休暇を取れる機会があります。こういった機会を活用し、首都公務員としての見分を広めるため、欧米の成熟都市や、アジアの成長都市を訪れてみてはどうでしょうか。
世界の大都市を訪問して見たり感じたりしたことを、大都市東京の運営という職務にそのまま活かすことができるのは、都庁の仕事の醍醐味の一つです。
ただ、都庁に限りませんが、一旦就職すると、2週間以上の連続休暇となると、特別な事情がある場合を除いて非常に難しくなります。長期旅行などは学生のうちにやっておくことをお勧めします。
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