公務員採用に有利な資格はあるか

他の受験生との差をつけるために、注目を得るために資格を取得するという考え方もあります。

採用に役立つ資格があれば話は単純です。
大抵の資格試験は知識のテストですので、コツコツと積み重ねれば努力が報われます。

受験生から見て何が評価されているか分かりにくい採用選考過程において、資格を持っていることで、一定の安心感、自信にはつながるかもしれません。

実際には、残念ながら、資格自体が採用で有利に働くことはありません。

司法試験、公認会計士などの難関資格ですら、その資格を取得しただけでは実務で活躍できません。資格を取ってから何年もの実務経験が必要です。

パソコン関連、簿記や宅建など、担当業務によっては役立つ資格もありますが、これは職務に就いてから研修、資格取得の機会が与えられます。

民間企業の「一般職」区分の募集なら別ですが、都庁の場合、将来の都政の中核を担いうる人材を採用したいのです。ワード、エクセルが使える、帳簿がつけられるなどの個別のスキルはアピールになりません。

採用の段階で見ているのは、業務の必要性に応じてこうした資格や技能、知識を取得できる基礎的な力や意欲があるか否かです。

通常の職種では、そもそも公務員として仕事をするために特定の資格は不要です。
業務によっては特定の資格を取得するよう推奨するケースもありますが、これは資格を取得する過程で、業務遂行(例えば民間事業者の指導)に役立つ体系的な知識を身に付けることが目的です。

面接の場面で検証されるとすれば、どんな資格を持っているかよりも、何のために、どのように努力して資格を取得したかです。

学生のうちからキャリア形成の一環として資格を取得するのは素晴らしいことですが、だから合格しやすい、希望の部署に配属されやすいとはなりません。
かえって、取得した資格を活用できない部署に配属されたらどうするのか、面接官としては気になります。

(なお、入都後に関しては、一定の実務経験+有用な資格保有ということであれば、経験・知識を活用できる部署への異動希望は通りやすくなります。)

公務員候補として必要とされる知識や思考力については公務員試験の筆記で試され、この中だけでも点数に大きく差がつきます。ある資格を持っていれば面接で評価されて逆転できるかというと、そんなことはありません。

就職活動の一環で資格を取得するよりも、その時間と集中力を筆記試験の準備に注ぐべきです。さらに言えば、一人で机に向かう時間を(可能な範囲で)削ってでも、組織やチームの中で揉まれる経験を積んでおくほうが面接試験に向けては効果的です。

入都後は、一人で机に向かい黙々と学習や書類作成に取り組むという場面はあまり多くありません。上司や同僚、都民と関わりながら仕事を進めることがほとんどです。そうした場面でも力を発揮できそうな人材かどうか、面接官による検証が行われます。


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