入都が1年遅れた場合の損失

公務員試験は再度トライできるのは事実ですが、都庁で働きたいと心に決めているのであれば、安易に一年先送りにすることなく、試験まで残された準備期間を大切にしていただきたいと思います。

もちろん、遠回りをすることには、挫折経験をバネにすることや、就職した人にはできない経験を積むことなど得るものもありますが、今回は受験生の方の発奮材料にしていただくため、収入額に与える影響について述べたいと思います。

都庁に入るのが一年遅れた場合、直観的には最初の年収分の400万円をもらい損ねたと感じるかもしれませんが、実はそうではありません。

 参照記事 『都庁1年目の年収』

もらい損ねるのは、将来の定年直前の収入1年分です。これは、定年が入都後何年という仕切りでなく、年齢で決まっているためです。

都庁では、昇給や昇任については、入都後何年目、主任になってから何年目、といった年次を基礎に行われます。

一方、定年に関しては、60歳という年齢で区切られています。(平成28年度現在)  

これは官民問わず、大きな組織ではたいてい同様の制度です。

仮に「入都後40年経過すれば定年」という制度であれば、入都時の年齢が何歳であっても関係ないのですが、現実はそうではありません。

将来は定年が65歳くらいに延長されるかもしれませんが、一定の年齢で区切るやり方は変わらないでしょう。

それでは、1年遅く入都した場合に、どれくらいの収入(生涯収入)をロスすることになるでしょうか。

将来、定年を迎えるころに、自分は課長代理(従来の係長)くらいにはなっているだろうという人は800万円のマイナス、管理職の課長にはなりたいという人は1000万円少々のマイナス、局長になるつもりだという人は1千数百万円~2000万円くらいのマイナスになります。

別の言い方をするなら、あと1年早く入都していれば、最後にもう1年、局長(もしくは課長、課長代理)として勤められたのに、ということです。

それぞれ退職金、年金等の額にも跳ね返りますので、実際の影響額はもう少し大きくなるでしょう。

なお、途中で転職したとしても、転職先での給料、職位は前職での職歴を基準に決定されることが多いため、同様の結果になると思われます。(転職先のほうからアプローチしてくるヘッドハンティングなら別です)

一般論としては以上のとおりですが、都庁は、中央省庁ほどの入庁年次制ではありませんので、昇任、昇給に関しては、頑張り次第で挽回することはもちろん可能です。

とはいえ、「定年まであと2年あれば部長にまで昇進できたのに」「局長にまで昇進できたのに」といったことも、職業人生の最後の局面で実際に起きています。

役所での最終的な職位が異なると、再就職先(いわゆる天下り)での処遇も異なります。この場合は、先述した定年間際の1年分の年収に加えて、再就職先での処遇差の分も生涯収入に違いが出てきます。

都庁で働きたいと心に決めているのであれば、「今年は準備が間に合わなければ、来年もう一度受ければいい」と安易に先送りすることなく、準備に万全を期していただきたいと思います。

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