残業が多いかどうかは、就活生にとって就職先選択の重要な要素となっています。
仮に、のんびりした雰囲気で残業が少ないことが気に入ってA市役所を選んだとします。
就活生にも知られているくらいなら、当然、他の企業や役所の人事もA市役所の状況を知っています。
将来転職しようと思っても、楽な組織の出身という目で見られますので、A市役所では珍しいほど仕事ができるということでないと、良い条件での転職は難しいでしょう。
将来、転職が当たり前の社会になれば、募集は増えますが、一方で応募者も増えます。
筆者はイギリス駐在時、職務で地方公務員の人事制度を調査していました。イギリスでは地方公務員でも職業人生のうちで何回か転職するのは当たり前になっていますが、1つのポジション募集に対して50名くらいの申し込みがあるのは普通です。履歴書等から十分な経歴があると見込まれる5~10名を面接に呼び、採用されるのは1名のみです。
良い条件の仕事に関しては、楽に転職できるようになるわけではありあません。
将来、転職が当たり前の社会になれば、募集は増えますが、一方で応募者も増えます。
筆者はイギリス駐在時、職務で地方公務員の人事制度を調査していました。イギリスでは地方公務員でも職業人生のうちで何回か転職するのは当たり前になっていますが、1つのポジション募集に対して50名くらいの申し込みがあるのは普通です。履歴書等から十分な経歴があると見込まれる5~10名を面接に呼び、採用されるのは1名のみです。
良い条件の仕事に関しては、楽に転職できるようになるわけではありあません。
転職は難しいとなると、A市役所で定年まで勤めることが前提になります。これから就職するのであれば、今後40~50年間、2060年くらいになるまで、給料そして退職金ももらわなくてはいけません。
ところで、民間有識者による「日本創成会議」は、2040年までに半数の自治体が持続不可能な状態に陥ると警鐘を鳴らしています。
財政破綻となれば、給料、退職金も大幅にカットされるでしょう。場合によっては、整理解雇(リストラ)もあるかもしれません。
公務員の整理解雇は現行法でも可能ですが、これまでは最終的に国や県が支援してきましたので、わずかな事例を除き、そこまでの必要がなかっただけです。しかし、自治体が次々に財政破綻し、国自身も財政が厳しいとなると、これまで通りにはいかないでしょう。
(参考)地方公務員法28条
職員が、左の各号の一に該当する場合においては、その意に反して、これを降任し、又は免職することができる。
四 職制若しくは定数の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合
公務員に「身分保証」があるというのは、事実上のものにすぎません。かつて、業績の安定した大企業で終身雇用が保証されていたのと同様です。
なお、慣例といえば、都庁の場合、採用試験の合格者は、希望すれば全員採用されていますが、これも事実上の慣例にすぎません。制度上は、採用候補者(合格者)名簿の上から順に採用することになっています。
もっとも、採用試験の実施者と採用者が事実上一体で、合格者の中からさらに選抜する必要はないため、基本的に全員が採用されています。しかし、突発的な財政事情でやむを得ず一部のみ採用という事態はありえます。そういう意味で、合格イコール採用という制度的な保証はありません。
長期的な人生設計を考えるなら、ワークライフバランスもさることながら、財政破綻で給料や退職金が大幅カットされるリスク、整理解雇されるリスクも考慮が必要です。
全国の自治体で次々に財政破綻が起きる状況になれば、国も今までのように助けることができません。
まずは、最初の就職先としてどこを選ぶか。いざというときに転職も可能な組織か(そういう人材が育つ土壌があるか)、または、安心して定年を迎えられそうな組織か。公務員の世界では、以前から前者は少数派ですが、今後は後者も少数派になりそうです。
それから、万が一、自分の属する組織が財政的に厳しい状況に置かれたとき、整理解雇の対象にされないために、入ってからどういうキャリアパスを歩むかもリスク管理の一部になってきます。
なお、上述の転職に関しては将来のリスクにも備えておくという話であって、就職活動の段階で「自分の組織が傾いたら転職すればいい」と安易に考えるべきではありません。
たまたまその組織特有の事情でそうなったのであれば、好景気のときなら救いがあるかもしれません。
しかし、社会全体の不景気で財政状況が悪化したという状況であれば、簡単に転職することはできません。
そのときに比較的「安全」と思われている組織には転職希望者が殺到します。十数年ほど前、景気が停滞していたころの都庁の社会人採用の倍率は、数十倍でした。
そうした状況では、「安全」な組織でも既存職員の雇用を守るので精一杯ですから、新規募集の枠も減少します。
自分の愛着のある自治体を支えたい、傾いた財政の立て直しに自分も貢献したいといった特別な思いがある場合は別ですが、あくまでも就職先の一つとして公務員を考えるのであれば、候補の自治体の将来についても十分に考えておく必要があります。
民間企業の場合、給料だけでなく、ワークライフバランスや働きやすさを含め、就職先として好ましい企業のランキングを経済誌が分析していることがあります。
ビジネスマンを調査対象として、自分の息子や娘が就職するとしたら勧めたい企業に関するランキングもあります。
採用試験の難易度や、どうすれば受かりやすいかだけでなく、就職後の状況を考えたランキングなど、職員として自分が働く立場で自治体同士を比較できる情報があれば、受験生の就職先選択に大いに役立つでしょう。
一般の経済誌では、公務員に関しては平均年収や天下り先くらいしか特集されませんので、公務員試験予備校に期待です。
それから、万が一、自分の属する組織が財政的に厳しい状況に置かれたとき、整理解雇の対象にされないために、入ってからどういうキャリアパスを歩むかもリスク管理の一部になってきます。
なお、上述の転職に関しては将来のリスクにも備えておくという話であって、就職活動の段階で「自分の組織が傾いたら転職すればいい」と安易に考えるべきではありません。
たまたまその組織特有の事情でそうなったのであれば、好景気のときなら救いがあるかもしれません。
しかし、社会全体の不景気で財政状況が悪化したという状況であれば、簡単に転職することはできません。
そのときに比較的「安全」と思われている組織には転職希望者が殺到します。十数年ほど前、景気が停滞していたころの都庁の社会人採用の倍率は、数十倍でした。
そうした状況では、「安全」な組織でも既存職員の雇用を守るので精一杯ですから、新規募集の枠も減少します。
自分の愛着のある自治体を支えたい、傾いた財政の立て直しに自分も貢献したいといった特別な思いがある場合は別ですが、あくまでも就職先の一つとして公務員を考えるのであれば、候補の自治体の将来についても十分に考えておく必要があります。
民間企業の場合、給料だけでなく、ワークライフバランスや働きやすさを含め、就職先として好ましい企業のランキングを経済誌が分析していることがあります。
ビジネスマンを調査対象として、自分の息子や娘が就職するとしたら勧めたい企業に関するランキングもあります。
採用試験の難易度や、どうすれば受かりやすいかだけでなく、就職後の状況を考えたランキングなど、職員として自分が働く立場で自治体同士を比較できる情報があれば、受験生の就職先選択に大いに役立つでしょう。
一般の経済誌では、公務員に関しては平均年収や天下り先くらいしか特集されませんので、公務員試験予備校に期待です。