東京都内の特別区・市を対象に、「平成25年 地方公務員給与実態調査結果」(総務省)から、残業の多さに関するランキングを作成しました。
比較のため、都庁および首都圏の政令市も含めています。
試算結果は以下の表のとおりです。
試算にあたっての考え方や、結果の考察については、後段で紹介しています。
特別区・市の残業量ランキング
(一般行政職)
注 総務省データを基に、都庁OBにおいて試算
試算にあたっての考え方
試算の基礎として使用したデータ、計算方法などについては、当ブログ記事『残業の多さランキング(都道府県・政令市)』と同様ですので、そちらの記事も併せてご参照ください。
結果の考察
年収でも上位に入っていた、小平市、町田市、小金井市など、都下の自治体が多く上位に入っています。
他県の政令市を除く上位10位のうち、8つが市役所です。特別区は2つしかありません。
全般的に、特別区は残業が少なめの印象ですが、下位10位で見ても、7つが特別区です。
特別区の傾向として、全体の業務量に比べて、人手が豊富と言えそうです。
職員になってからのことを考えるなら、特別区にはワークライフバランスを取りやすい職場が比較的多いと思われます。
なお、都庁は、特別区・市と比べても、それほど残業が多くないことも分かります。
都庁で残業が月12時間(たまにではなく毎月)の職場というと、出先なら忙しい部署、本庁なら最も残業が少ない部署のイメージです。
ところで、霞が関で勤務する国家公務員の労働組合が実施した実態調査(組合員へのアンケート調査を集計したもの)によると、霞が関では月の残業時間の平均は37時間とのことです。
最も多いのは厚生労働省(厚生部門)の55.5時間で、国土交通省53時間、経済産業省50時間と続きます。
霞が関の状況と比べれば、自治体の中で残業が多いといっても、それほどではありません。
なお、先に紹介した自治体のデータは残業手当の支給実績ベースです。残業をしたけれど公式に申請が行われていない時間は含まれていません。
この点を考慮すれば、実際の残業時間はもう少し増えると思われます。とはいえ、地方公務員の職場事情を考えれば、平均の数値で何時間も増えることはないでしょう。
通常、部署ごとに割り振られる予算の都合で、残業手当の上限があります。自治体の場合、大抵の部署ではこの残業の枠に納まる業務量ですから、基本的にサービス残業はありません。
業務量に見合う残業手当の予算額を確保できていない部署の場合、業務の質・量を落とすという選択をしないのであれば、結果的にサービス残業が発生することになります。
組織の力関係、想定外の業務の発生、人員を欠いたが補充されないなど、様々な要因があります。
もっとも、サービス残業でなくても、職員の「良識」の観点で、残業が少なめに申請されているケースも想定されます。
例えば、毎日30分残業するだけでも、きっちり申請すれば1か月で10時間の残業になります。
もっとも、正規の勤務時間中も、ときに同僚とおしゃべりしたり、お茶を入れたり、お手洗いに行ったり、人によってはタバコ休憩も取っているわけです。わずかな時間も無駄にせず勤務したと言い切れる職員はほとんどいないでしょう。
このため、都庁では、30分くらいの残業は申請しないことがほとんどです。普段忙しい本庁の部署であれば、定時から1時間くらいで帰るときは残業をしたという感覚もありません。
ここまで東京都の特別区・市の『年収ランキング』『残業の量ランキング』を試算してきました。
ここまで東京都の特別区・市の『年収ランキング』『残業の量ランキング』を試算してきました。
この中で、平均年齢の低い自治体が補正年収の上位に名を連ねており、この要因は残業が多いことにあるという傾向が読み取れます。
一方で、職員の平均年齢が最も高い渋谷区は、残業時間で見ると最下位クラスです。
職員の平均年齢と残業の量との間に何か関係がありそうですが、この点については改めて分析したいと思います。
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