面接での回答は、人物像との整合性が大切

個別の質問への回答を整理するだけでは全体像を見失いがちです。部分最適に陥らないよう注意すべきです。

特に、答えにくい質問、少々意地悪な質問に対して、その場をうまくやり過ごすことを目的としてしまうと、リスクが高まります。

最終的に、自分をどのような人材としてアピールしたいかという原点に立ち返り、そうした視点で、個別の回答、他の回答との整合性を検証する必要があります。

面接試験では、一回の質問・回答で、各項目の評価が確定しているわけではありません。外国語検定のように、この回答には2点、あの回答には3点と採点し、それを足し合わせて面接試験の評価が決まる、というわけではありません。

例えば、学生時代の経歴、実績を通じて、「チャレンジ精神の旺盛な人材」「粘り強く取り組める人材」との印象を与えたとします。

面接の終盤で、「もし今回が残念な結果になったらどうするか」と問われたとき、「あっさり諦める」という趣旨の回答では、面接官もそれまでに抱いていた印象に疑念を抱きます。

これだけで不合格になるわけではありませんが、チャレンジ精神に関して満点を与えようと思っていたが、念のため少し評価を下げておこうとなるかもしれません。

一方、「親を説得してでも、再チャレンジする」という趣旨の回答であれば、既に抱いていた印象を補強することに繋がります。
(ただし、再チャレンジするとの回答が評価されるかは、個別事情によります)

なお、「このように考えれば筋が通っている」「間違ってはいない」と主張することはできますが、面接官が受験生と同じ視点で解釈してくれるとは限りません。

仮に説明の機会が与えられたとしても、「このように考えれば」とあえて説明を加える必要がある時点で、自然な流れ、自然な解釈とは言えません。

特段の説明を加えなくても、誰から見ても納得できる、腑に落ちる回答と言えるか、検討が必要です。

「普通なら納得してもらえないかもしれない」と考えるのであれば、提示する内容を再検討するか、相手に余計な疑念を抱かせる前に、特別な経緯や背景があることを自分から説明すべきです。

論文試験でも同様ですが、評価はゼロか満点かではありません。話の筋に無理がある場合は、相応の評価となります。筋さえ通せばマルがもらえるわけではないのです。

「理屈は分からないでもないが、釈然としない」という印象では、高評価は期待できません。

受験生が何と主張したかよりも、面接全体を通じて面接官が納得できた度合いに応じて、評価が与えられます。

採用試験案内には、「主として人物についての個別面接」を行うとあります。主張の論理一貫性や正しさだけではなく、多様な要素が検証されます。

自分の意見の正しさに固執するあまり、独善的、柔軟性を欠くと評価されては、人物の審査を行っている面接試験では得策といえません。

面接試験では、採用後、職場での上司や同僚とのやり取り、都民とのやり取りのシミュレーションも兼ねているのです。

自分が提示しようとしている人物像に照らして、個別の回答が納得できるものか、他の回答との整合性が取れているか、改めて検証することをお勧めします。

この質問にはこう答えなければいけないという「模範解答」が存在するわけではありませんが、「自分と似たバックグランドを持ち、都庁で活躍してる若手職員ならどのように答えるか」という視点で、自分が整理した回答案を見直してみるのも有効です。

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