「チームワーク・協調性」が備わっていることを面接官に示す必要があります。
都庁の仕事は、部署内での役割分担や、他部署との連携など、チームで行うのが基本です。どんなに能力が高くても、一人で完結できる仕事はほとんどありません。
業務の質をより高めるため、あるいはミスを防ぐためのチェック機能として、むしろ一人だけで完結させない仕組みになっているとも言えます。
したがって、都庁に就職したいということであれば、個人としての能力を示すことはもとより、チームの中で力を発揮できる人材であることを示す必要があります。
「新方式」の採用試験では、個別面接とは別にグループワークを課しているように、チームの中でどのように行動できる人材か、人事当局も重視しています。
本当は「一般方式」でもグループワークを実施し、どのように他人と協力・協働できる人材か実戦に近い形で検証したほうが良いのですが、受験者数の規模が大きいため、実施、採点の運営面で実現は難しいでしょう。
面接では、ゼミ、部活、サークル、アルバイトなどの場面で、チームとして取り組んだこと、その中での自分の役割やチームのために貢献したことを、面接官に提示してください。
つまり、一人で頑張って成果を出したというよりも、チームのために自分の役割を果たした、チームのために積極的に提案した、意見の対立を調停したということが重要です。
リーダーの役割を務めていた場合は、メンバーをどうやって率いてきたか、意見の対立などにどのように対処してきたか、チーム全員が共通の目標を維持できるようにどのように工夫したか、などです。
チームメートや後輩の能力を引き出す(向上させる)ために工夫したことがあれば、一層良いでしょう。
なお、リーダーの役割を果たしたと無理に言う必要はありません。むしろ都庁に入ってからの数年間は、メンバーの一員としての建設的な提案や、チームをサポートする役割のほうが多くなります。
リーダーの役割でなくても、チームへの提案や、自分の役割を果たすことを通じたチームへの貢献、他のメンバーとの意見の相違をどう乗り越えたかなど、チームの一員として成果を出せる人材であれば、十分に評価されます。
ただし、チームワーク・協調性といっても、単に「周りと仲良くやっていく」「波風を立てない」ということではありません。協調性を強調するあまり、受動的な人材、積極性に欠ける人材と受け取られないよう注意が必要です。
なお、先ほど、入都後の数年はサポートする役割が多いと申し上げましたが、その間も後輩の指導を任されることもありますし、若手職員のプロジェクトチームの主導的役割を期待されることもあります。
また、一定の経歴を積んだ後は、職場の中核職員として指導的立場を担ってほしいというのが人事当局の本音です。
また、「自分は、意見の取りまとめ役タイプ」といった抽象的な説明では、面接官は到底納得しません。面接官が知りたいのは、どのような場面で、どのように意見を取りまとめる人材かです。「意見の取りまとめ」が具体的に何を意味するかも、人によって、立場によって異なるでしょう。
面接官はこれらを判断材料として、都庁での活躍が期待される人材かを評価します。
「公務員はこういうタイプが多いはずなので、自分もそれに合せよう」という発想は、採用試験においては危険です。
人事当局が新たに採用したい人材は、既存の公務員の平均像、多数派ではありません。組織の中で(例えば)上位20%の人材と評価されている職員が備えている特性(行動様式や思考様式)を参考にすべきです。
将来、上位評価を受ける職員(組織から見て、活躍している職員)となりうる特性を備えた人材から順に高い評価が与えられ、結果的に優先的に採用されることにつながります。
都庁の人事当局が、若手職員に期待している役割から考えると、チャレンジ精神や行動力は、あればあるほど評価が高まると言えます。
一方、チームワーク・協調性については、組織の中で働くために、一定程度備わっていれば十分という性質のものでしょう。
限られた面接時間の中で、自分の強みとしてどちらを強く押し出すかという戦略的な観点では、チャレンジ精神や行動力を優先して回答を組み立てるべきです。ただし、行政実務家の登用試験ですから、特定の資質の一点突破を推奨するものではありません。
通年学習から直前期対策までを見据えた