面接試験の準備として、個別の質問への受け答えを整理することも必要ですが、どのような人物として認識してもらうか、大局観を失わないことも大切です。
その大局観に照らして、個別の回答が相互に矛盾していないかチェックしなければいけません。
予期せぬ質問にも、自分はどのように考え、どのように行動する人物かという根本に遡って対処する必要があります。この点に矛盾があると、これまでの回答は「模範解答」を再現しているだけ、あるいは作り話ではないか、との疑念を生みかねません。
人材を採用する当局の視点では、人物の総合的な評価は以下のイメージです。
1. ぜひ採用したい
筆記の点数が悪くてもカバーできる得点を与える(筆記の持ち点も高ければ、上位合格)
2. 採用してもよい
筆記が平均以上であれば、総合点で合格ラインを超える
3. 積極的には推薦しない
筆記が上位であれば、総合点で合格ラインを超える可能性あり
4. 足切りの水準
都庁の採用試験案内には、「第2次試験の成績が一定基準に達しない場合は、第1次試験の成績にかかわらず不合格」とあります。
都庁では、最終合格者は「第1次試験及び第2次試験の成績を合わせた総合成績により決定」されるため、筆記の持ち点が高いほうが最終合格に有利であることは間違いありません。
もっとも、筆記の結果を今から変えることはできません。面接での高評価を目指すことに集中するほかありません。
仮に筆記の持ち点が面接受験者の中で最低点だったとしても、面接試験での逆転合格が可能だからこそ、面接試験に呼ばれているのです。諸々の運営の手間、面接官の手間を考えれば、仮に合格可能性がないのであれば、わざわざ面接に呼びません。
面接シートでは、これまで力を入れて取り組んだことなどの記載が求められ、この情報を基に面接当日の質疑が組み立てられます。
どのような項目を選び、どのような角度から焦点を当てるかという戦略次第で、人材の評価は格段に違ってくるでしょう。
例えば部活に取り組んでいた方の場合、苦労して成し遂げた場面といっても、4年間で様々な局面があったはずで、どの場面を切り出すか、その場面を自分のどのような資質を示すものとして提示するか、選択しなければいけません。
まずは、当局が重視していない資質を売り込むような戦略ミスや、あらぬ方向に議論を展開することを避け、足切りの水準にならないよう守る必要があります。
筆記の持ち点に自信のある方は、確実に合格するために、「採用してもよい」以上の評価を得られるよう万全を期しましょう。
筆記の持ち点が低いと想定される方は、「ぜひ採用したい」の枠に入るために、人物像、提示する事例を戦略的に練る必要があります。
もっとも、筆記試験の結果は、都庁の受験対策に割くことができた時間に比例する側面もあります。受験生の事情は様々であり、筆記の持ち点が低いからといって引け目を感じる必要はありません。
迷いが生じた場合は、採用試験とは結局、これから都庁での活躍が期待される人材を選抜する場であるという根本に立ち返って、そのような人材ならどのような資質が見られるか、そのような資質を示す実績や具体的エピソードは何かと考えてください。
通年学習から直前期対策までを見据えた