面接試験で、自分をどのような人材として認識してもらうか。これは、自己PRだけでなく、様々な角度から投げかけられる質問に適切に対応するためにも大切なことです。
まずは、自分が都庁で携わりたい仕事を出発点に考えることをお勧めします。そうした職務で活躍している若手人材の特性はどのようなものかという発想です。
自分の強みや弱みを出発点とすると、自分が今できることに発想が限定されてしまいます。
一方、試験案内にある都庁が求める人材像を出発点としてしまうと、人物像を偽る、模範解答を覚えるという方向になりかねません。発言も抽象的になりがちで、日々の具体的な行動や活動内容と齟齬があると、見破られます。
自分が携わりたい職務を考えるにあたっては、例えば、「政策を考える仕事」というのはありませんから、もう少し具体的に捉える必要があります。
政策立案の最初の着想は直観的なものかもしれませんが、新規施策が社会経済に与える影響のシミュレーション、諸外国での事例の検証、現行法で可能か否か、既存制度との整合性の検証、条例の条文文言への落とし込み、議会や都民への説明・説得など、政策の立案にも様々な過程があります。
こうした過程で、自分がチームに特に貢献できる(貢献したい)と考えているものは何かが大切です。(なお、現時点の力量で本当に貢献できるかは重要ではありません。受験生の段階では、基礎力と意欲です)
なお、政策立案部署で、新規施策を発想するだけの担当者、既存の法令を調査するだけの担当者はいません。政策立案といっても、各職員が様々な業務を担当することになりますが、その中でも特にこの点で貢献したい(将来、貢献できると考えている)ものを定めるという意味です。
自分の携わりたい仕事をイメージする際には、(例えば)財務局主計部財政課で、産業労働局観光部企画課でこんな仕事がしたいなど、都の各局ホームページも参照しながら、具体的な業務内容を基に考えることをお勧めします。
商工部創業支援課など、一見、華がありそうですが、都の主な役割は民間委託先との契約事務や業務監督くらいといったケースもあります。(都職員には通常、起業の経験やノウハウはないわけで、当然ではありますが)
面接試験では、都庁組織に関する知識が多少不正確であっても、それ自体は致命的ではありませんが、本当にそれをやるためだけに都庁に入りたいのかと疑念を抱かれたり、大事なことの裏を取っていない姿勢がマイナスに評価されるおそれがあります。
自分が携わりたい仕事が明確になったら、そうした部署で活躍している人材(または、そうした部署から声がかかる人材)には、どのような特性があるだろうかと考えてみます。
そうした人材は、仕事で直面する様々な局面で、そうした特性をどのように駆使しているか。
自分の強みをどのように磨いて仕事に活用しているか、どのように弱みを克服しようとしているか。
希望部署から声が掛かるようにどのように力を蓄えているか。
そのような人材が逆境に直面したら(希望していない仕事を命じられたら)、どう考えて対応するだろうか。
上司や同僚との関係はどのようなものだろうか、などです。
また、通勤電車内や休日には何をしていそうでしょうか。
こうした人材像を前提に、自分の強みと言えるものは何か。こうした人材になるためには、自分が一層磨く必要のあるものは何か。
また、今の学生生活を前提に、自分が目指しているような人材であれば、どのように考え、どのように行動するだろうか。そうした考え方や行動を自分も習慣化するには、日々の生活、活動で自分は何をすればよいのか。
このようにして、自分が将来携わりたい仕事でも活かせる強み(現時点では基礎力)、また克服に向けて取り組んでいることも具体的にまとめられると思います。
ここまで来れば、採用案内にある都の求める人材像も参照し、漏れがないか、方向性が合致しているか確認するのも有効です。
採用試験では、これから組織で活躍できそうな人材から順に採用されます。自己分析を深く行っていること、それ自体が評価されるわけではありません。
採用試験においては、自分は何者かよりも、組織がどんな人材を欲しているかを基に、ゴールから逆算するほうが得策です。
なお、都の人事当局が「多様な人材」「多様な強み」とよく言及しているように、組織が求める人材像には一定の幅があります。特定の型に無理に合わせる必要はありませんが、将来の都政を担う人材の候補として、チャレンジ精神など、コアの資質は外さないように注意してください。
通年学習から直前期対策までを見据えた
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