もっとも、生活水準に関しては、同じ役職に就いている都庁職員の間でも、世帯構成に応じて異なります。
一般に、単身世帯の支出を1.0とすると、二人世帯の支出は1.4とされています。二人で住むからといって必ずしも2倍広い住居は必要でなく、二人でシェアできるものであれば1つで足りるため、生活コストは2倍にはなりません。
今回はこの点を踏まえ、同じ役職、同じ年収の都庁職員でも、生活水準がかなり異なる可能性があることについて述べたいと思います。
都庁で主任として勤務しているAさんとBさん、年収は額面で600万円少々、手取り500万円とします。役職も収入も同じです。
二人とも旅行が好きで、あそこへ行った、ここに泊まったと話題に上ります。もっとも、Aさんは、自分なら泊まらないグレードの高い滞在先に、Bさんがいつも泊まっているように感じています。
単身者であるAさんは、手取りのうち450万円を住居費や生活費として使い、50万円を趣味や旅行に費やしています。貯金はほとんどしていません。
Bさんは、元の職場で知り合ったCさん(主任)と結婚しています。
Bさん夫婦(夫婦のみ世帯)は、世帯収入で額面1,200万円少々、手取り年収が1,000万円です。
仮に普段の生活水準がAさんと同じとすると、住居費・生活費の支出は450×1.4=630万円で済み、残り370万円を趣味や旅行、あるいは貯蓄に回すことができます。(もしくは、グレードの高いマンションに引っ越すかもしれません)
単身者であるAさんが、Bさん夫婦と同じように趣味や旅行に興じたい、あるいは貯蓄をしたいとなると、単純に言えば、生活関連の支出を3割(135万円分)切り詰める必要があります。
もしくは、普段の生活水準を維持したうえで、手取り収入を135万円増やさなくてはいけません。
夫婦共稼ぎで額面1,200万円の世帯と同水準の生活を送るには、単身者の場合、額面で800万円~850万円程度は必要です。このためには、役職を一つか二つ追加で昇る必要がありそうです。
もちろん、世帯を持つかどうかは個人のライフスタイルの選択です。
もっとも、「公務員になれば、これくらいの生活は送れるはず」と期待していた場合、役職や世帯構成によって、生活水準の状況は異なります。
近年の給与制度改正で、下位の役職に留まる期間が長いほど、給料が上がりにくくなる仕組みへと徐々に切り替わっています。昇給が頭打ちになる年齢も、おそらくさらに早まるでしょう。
また、将来の年金の支給額も、現役時代の給与水準(掛金の多寡)に左右されます。
自分は単身のままで、それなりにゆとりのある生活を送りたいという場合は、ある程度の役職を昇るつもりでキャリア設計を考える必要があると言えそうです。
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