受験生がおさえておくべき、
都知事が職員に求めること

都知事の新年あいさつとして、都庁職員に期待することが述べられています。

知事発言の中から、都庁受験生の論文・面接対策として参考になる部分、また、都庁を就職先候補として検討している方の参考になる部分を抜粋し後段で紹介します。

知事が職員に求める視点・行動は、単なる理念、理想ではありません。実際に現場の若手職員にも望まれています。

採用試験は、将来の活躍が期待される若手職員(その基礎力を備えた人材)を選抜する過程です。受験生の方も、学校や部活での活動、アルバイト先でのご自身の役割などに置き換えて、ぜひ参考にしてください。

「入ってから頑張る」という口約束よりも、近い将来に職員になることを見据えて「少しずつだが既に練習を始めている」という人材のほうが、採るほうは安心です。

都庁受験生が今から磨いておくべき視点・行動に関して、特に重要と思われる部分は赤字にしてあります。面接試験であらぬ方向に自己PRを展開しないためにも、都庁が求める人材像の基本的視点をおさえておくことが大切です。

そして、受験生のみなさんは政治家になるわけではないため、「都民ファースト」「三つのシティ」といった理念やキャッチフレーズを提唱するだけでは足りません。
都知事の考えに賛同するとしても、それを実現するために、職員の立場で(職員になったとしたら)、自分ならこうするという具体的行動を考える必要があります。

さらに、職員として求められるであろう行動を踏まえて、現在ご自身の置かれた環境の中で練習、実践することができればベストです。

なお、「うまく改善できた」「自分の意見が取り入れられた」といった結果が伴えばそれに越したことはありませんが、まずは取組姿勢のほうが大切です。都庁でも、若手職員の評価に関しては、結果(業績)よりも、取組姿勢の比重のほうが大きいのです。

<以下、知事発言抜粋>
(内外の厳しい状況に緊張感を持つ)
近い将来訪れる人口減少。急速に進行する高齢化。首都直下地震、30年以内に70%の確率で起きるとされています。また、台風などの自然災害も、気候変動の影響などによって年々激甚化しております。
福岡でのあの道路の陥没事故、糸魚川での大火災など、いずれも他人事には思えません。

そして、格差問題もいまやグローバルな課題となっております。海外に目を転じれば、法人税の大幅な軽減を打ち出すであろうトランプ新政権の誕生を控えまして、国際的な都市間競争を勝ち抜くことで、さらなる成長を目指す東京にとりまして、世界は益々強力なライバルとなることでありましょう。

東京都は、これまでの延長線を超えて、新たな発想を取り入れながら、いくつもの山を乗り越えていかなければなりません。先手、先手で、勝負に出ることも必要であります。

(実行プランを道しるべに、都民と共に歩む)
昨年末に発表した実行プランは、「都民ファーストでつくる『新しい東京』」と名付けております。政策の大義を分かりやすく噛み砕いて、都民の共感を呼ぶ形でまとめたプランであります。そして、夢溢れる東京の未来像も明確にした、まさに都民と共につくる未来への航路、道標となるものであります。

特に、東京の未来像であります「Beyond2020」は、若手の職員の皆さんの自由闊達な意見も取り入れながら描いてまいりました。ベテランの豊富な経験、そして若手の大胆な視点を融合させることで、明るい未来を切り拓く新たな発想が生まれるのだと確信をいたしております。

各局においても、若手の皆さんの意見、そしてその想いを積極的に吸い上げて、先々も見据えながら、それぞれの課題に柔軟な発想で取り組んで欲しいと思います。

(プランの「実行力」を高める)
新年を迎えまして、これから私たちが問われるのは、このプランを実現していく、まさしく「実行力」であります。まずは、それを担保する予算をしっかりと固めなければなりません。早速明日から、平成29年度予算案の知事査定が始まります。

予算とは、単にお金をつければ良いというものではありません。都民の納得と共感を呼んで、現実に成果に繋がるものになっているかどうかが重要だと考えます。

予算査定においては、安全・安心なセーフ シティ、誰もが輝くダイバーシティ、世界をリードするスマート シティ、これらの3つのシティの実現に向けて、「教育など機会の格差、街の段差」をなくす努力を中心に進めていく考えであります。

プランの実現には、何よりも皆さんこそが立役者となって、一つひとつ粘り強く取り組んでいただくことが不可欠であります。東京の明るい未来を築くことに誇りを持って、政策を前へ進め、常にそれを磨き上げ、都民のためのより良い成果を飽くことなく追求して欲しいと思っています。

昨年8月の就任の際、私はこの場で皆さんに、「できない理由を探すのではなく、できる方法を考えて欲しい」とお願いをいたしました。これからの時代、自分の業務や部署の守備範囲だけで解決できる問題などない、そのように思っていただきたい。

一人ひとりが鳥の目を持って、全体を俯瞰しながら、行政の力、民間の力、都民の力をいかに引き出し、より良い東京をつくり上げていくのかを考え抜いていただきたい。発想豊かに、一緒に明るい未来づくりのムーブメントを起こしてまいろうではありませんか。

(改革を進め、都庁を進化させる)
もう一つ、私はこの場で、「情報公開を進め、都政の信頼を回復していきたい」ということも申し上げております。都政がかつてないほど脚光を浴びる中、情報公開を肝とする改革を進めて、幅広い課題を掘り起こしてまいったつもりであります。

そして、こうした変化に、戸惑いを覚えた皆さんも多かったでありましょうが、しかし、全ては、都民の共感を追い風に政策をスピーディーに進めていく組織へと、都庁をさらに進化させるための道筋であります。

すでに皆さんは、業務改善に向けた500近くの自律的な改革に取り組んでおられます。そして、改革の意識が着実に根付いてきたと感じております。職員の目安箱にも、日頃感じていることや職場の改善点などを、引き続き積極的に届けてください。私は、一つひとつに目を通させていただいております。

不断の改革を推し進めることで、明るい未来を築く礎、それをしっかりと固めてまいる年にしていきたい。そして、都民の皆様が、「あっ、東京が変わったな」と実感できるような、具体的な成果を積み重ねていきたいと思います。

(全庁一丸で東京2020大会に突き進む)
今後、組織委員会、国、IOC、そして関係自治体とも綿密に連携をいたしまして、都民・国民の皆さんの力強い後押しを得て、大会準備を加速したいと思っています。

そして、史上初めて、オリンピック・パラリンピック両大会の2回目の開催都市となるここ東京が、持続可能な大会を実現することで、その先も、大いなる大会レガシーの下で成長を続けていく都市のモデルとなると、このように確信をいたしております。この歴史的な使命に、全庁一丸となって取り組んでまいりましょう。

そしてまた、大会のコストをできるだけ縮減する、その一方で、国民の皆さん、都民の皆さんとの一体感、ワクワク感は高めてまいりたいと思います。

その一環として、もう使わなくなった携帯電話やパソコンなどを集めて、いわゆる「都市鉱山」から金銀銅計5,000個のメダルの材料を集めてまいります。回収準備が整いましたら、まずは、都庁の職員の皆さんからご協力をいただきたいと思います。

また、エコな五輪グッズとして江戸前の風呂敷やエコバッグの制作も進んでいると聞いております。これらは東京都として、組織委員会の収入のアップに協力をするものであります。

誰がコストを負担するのかではなく、どうやってコストを縮減すると同時に収入を増やしていくか、そんな前向きの態度で臨みたいと思っております。国民、都民とともに盛り上がる五輪・パラリンピックにしてまいりましょう。そして皆さんも、さらにどんな知恵があるのか、ちょっと考えて、私の方にお伝えください

(引き続き「ライフ・ワーク・バランス」を徹底)
管理職の皆さん。「イクボス」、しっかり続けておられますか。職員の皆さんも、仕事が終わったら、上司に気兼ねすることなく速やかに退庁できているでありましょうか。「20時完全退庁」を開始した昨年10月、平均超勤時間は、一昨年の10月に比べますと一人当たり3時間減少するということなど、皆さんの努力の成果は早速数字に現れております。

それぞれ多くの課題を抱えて、大変だとは思いますけれども、早く退庁することによって、仕事以外の時間も充実させて、自分のスキルアップにも活かしていただきたいと思います。

育児・介護をはじめ、家族や友達と過ごす、趣味や自己研鑽に没頭する。生活も仕事も充実させる働き方を、ここ都庁から広げていこうではありませんか。人生を大切にして、生活者の目線を養うことは、都民ニーズに敏感となって、日々の仕事においても「都民ファースト」を徹底することにも繋がると思います。

皆さん一人ひとりが、自分の人生をもっと輝かせることが、「新しい東京」を実現する原動力となる、このように思います。新たな一年の始まりをチャンスとして、いま一度、自分の、自らの時間の使い方を見直していただきたいと思います。