「合格できればいい」「できるだけがんばる」という漠然とした目標では、毎日着実にゴールに近づいているか判断できません。
目標を定めるに際しては、以下の4点をお勧めします。
・ 現在の実力より高めの目標を設定する
・ 具体的な目標を設定する
・ 目標から逆算する
・ 具体的な行動に落とし込む
例えば、上位100位以内での都庁合格を目標とします。
(合格順位の持つ意味については、『都庁採用試験の順位とキャリアパス』をご参照ください)
そのために、択一で7割、専門記述で8割、論文、面接で7割の得点を目指します。
択一で7割取るには、どの参考書をどの程度理解(記憶)しておく必要があるか。そのためには、何回繰り返して学ぶ必要があるか。1回目を何月何日までに終えるのか、2回目はいつまでに終えるのか。そのためには、毎日、何ページ進まないといけないか。
面接で8割の得点を得るために、それぞれの評価項目で何割の得点を目指すのか。そのためには、普段からどのような活動、行動、考え方をしていなければいけないか。いつまでに何を成し遂げるべきか。
何を、いつまでに、どのように行うのかを明確にする手法は、都庁で職員の業績を毎年評価する際にも活用されています。
択一、専門記述に関して、何をどこまでやればよいか、いつまでにやればよいか分からないという方は、予備校を活用するとよいでしょう。
択一、専門記述の勉強方法に関しては、全般的なことを除いて、個別科目については残念ながら筆者からはアドバイスできません。
個別の科目に関しては、都庁職員よりも、予備校で講師をされている方のほうがよほど詳しく知っているはずです。
専門記述の出題範囲に含まれている憲法、行政法、民法などは、採用試験以降、仕事で直接扱うとはほとんどありません。就職してしまうと、これらは「教養」の扱いになってしまいます。
都庁の仕事で直接必要になるのは、例えば「地方税法」や「国家戦略特別区域法」「地球温暖化対策の推進に関する法律」などの個別の法律ですが、これは、それらが必要となる部署に配属されてから勉強すれば大丈夫です。仕事で新しい法律を勉強する際に、法的な「教養」が役立ちます。
大学プラス独学でやるか、それが不安な方は予備校を利用するとよいでしょう。独学でも自信がある方は無理に通う必要はありませんが、十数万円のコストで合格の可能性が高まるなら、安い投資と考えます。就職に関することですから、迷うなら安全策を取ることをお勧めします。
予備校に通うかどうかに限りませんが、必要なときに他人のリソースを活用できるか(助けを求められるか)どうかも採用試験の過程で見られています。(ただし、頼り切るのはダメです。活用するという発想でなくてはいけません)
そして何よりも、早く取り掛かることです。何をどのように行うかよりも、これが一番大事かもしれません。
「周りもまだ準備していないから、自分もまだやらなくて大丈夫だ」と思ってはいけません。差をつけるチャンスだと思って、自分は始めるべきです。
先にのんびりした結果、後で焦ることになっても、時間は取り戻せません。
都庁の場合、職種にもよりますが、合格倍率は7倍から10倍程度です。合格者のほうが少数ですから、都庁を受験するみんなと同じようにしていれば安心ということにはなりません。
また、組織が欲しい人材像の観点からも、先延ばしタイプは好まれません。
何でも先延ばしにするタイプと、早めに取り掛かるタイプであれば、職場では間違いなく後者が好まれます。
就職後は、先延ばしのために仕事が上手くいかなかった場合、上司、同僚にも責任が及びます。こうした人材をチームの一員として積極的に迎えようとは思いません。
能力、行動様式、人柄などの総合評価で、職場が欲しがっているタイプの人材が、採用試験でも高く評価されるのは当然のことです。
早い時期から全ての時間を採用試験のためだけに費やすべきではありませんが、できることを少しずつ継続的に行うことは大切です。これも受験生の人材像を表すものだからです。
この点は、面接試験に向けて非常に大切な視点です。
この点は、面接試験に向けて非常に大切な視点です。
「直前期の頑張りだけで何とかする」「一か八か」という発想は、自らを採用から遠ざけてしまいます。
採用側は、そうした行動特性が就職後にも現れるのではないかと懸念します。そうした特性が垣間見える人材は採りたくないというのが、大方の組織の本音です。
スポーツに例えれば、本番に備えて普段から入念な準備をしている選手と、本番になれば何とかすると言ってろくに練習もしていない選手と、重要な局面で監督が安心して起用できるのはどちらの選手かということです。
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