都庁受験生が知っておくべき『都庁 組織・人事改革ポリシー』

Ⅰ類A・Bの方は筆記試験を終えられ、お疲れさまでした。目下、面接試験に向けた準備を進めている方、気を抜かず併願先の筆記試験に備えている方と様々にいらっしゃることと思います。

さて、20153月に都人事部が公表した『都庁 組織・人事改革ポリシー』では、「世界一の都市・東京」の実現を支える組織・人材のあり方が示されています。

採用試験は、1年以内に都庁で勤務することとなる人材の選抜であり、また、将来の都政の中核を担う人材もこの中から選抜されていきます。このため、都の人事当局が職員に求めている意識、能力、スキル等は、都庁の一員を目指す受験生にも重要な手がかりとなります。

以下に、受験生に関係すると考えられる箇所の概要を紹介します。これを見て、望むところだ、自分のキャリア観やライフスタイルにマッチしている、と感じた方は都庁に向いています。

また、採用案内に示された「東京都の求める人材像」は、パンフレットに掲載するために格好を付けただけのお題目ではなく、実際に職員にも求めていることがお分かり頂けると思います。

<以下抜粋>
第1章 「世界一の都市・東京」を築き、支える組織・人材
「東京都長期ビジョン」が掲げる「世界一の都市・東京」の実現に向けて、組織・人事に関する2つの視点に立った取組による執行力強化が不可欠

1点目に、前例にとらわれることなく、組織の枠組みを越えて、都庁が職種や職場を問わず一つのチームとなり、総力を挙げた取組が求められており、既存の組織の在り方や仕事の進め方を見直すことが必要

2点目に、都というチームの力を高める鍵を握るのは、もとより人材であり、その質を高める取組が求められており、職員一人ひとりが、高い視座と幅広い視野を持ちながら、より高度な専門性をはじめ、自らの強みを発揮できるよう更なる「人づくり」に真剣に取り組むことが必要

組織として職員が有する人材力を最大限に引き出し、実効性の高い成果を上げていくためには、その根底に「職員が互いに認め合い、自ら育つ」組織風土が不可欠

「都庁 組織・人事改革ポリシー」は、全職場・職員がこうした基本姿勢を共有するためのものであり、「職員が互いに認め合い、自ら育つ」組織風土を基礎として、一体的な見直しに取り組むことで、組織と職員が相乗的にレベルアップし、都民のために積極的にチャレンジする組織へ転換

第3章 今後の組織・人事施策の具体的方向
目標1 執行体制の機能強化
スピード・柔軟さ・チームワークを備えた、課題即応・解決型の執行体制を構築するために、都庁組織の仕事の進め方とマネジメントを改革

【取組の方向1】 課題即応・解決型の執行体制構築に向けた仕事の進め方・マネジメント改革
(3)係制の見直し
監督職と係制の見直しにより、組織の一体感が醸成され、課全体が活性化し、職員も広い視野を持ち積極的かつ柔軟に課題解決に取り組むよう意識を改革

(5)窓口事務等の改善を契機とした「おもてなし」気運の醸成
窓口事務について、都民の視点に立った実態把握や状況分析を行い、改善策を取りまとめるなど、都の事務事業全体の改善につながる取組を実施

【取組の方向3】 職員のキャリア形成と職場の危機管理を主軸に加えたワーク・ライフ・バランスの実現
(1)都庁版ワーク・ライフ・バランス推進プランの策定
育児中の職員のキャリア形成促進、職場の危機管理としての仕事と介護の両立支援、生産性向上に向けた能力開発・働き方改革の3つの方向性を定め、様々な施策を実施するとともに、女性管理職比率向上へ向けた支援も実施

目標2 人事施策の実効性向上
様々な分野でリーダーシップを発揮するため、職員の専門性強化と多様な人材の活用を一層推進
高いモチベーションと強い組織を支えるため、職員の頑張りに報いる処遇を徹底

【取組の方向4】 様々な都政課題に対応すべく必要な人材を確実に確保
(1)採用試験区分の多様化
「Ⅰ類B」採用試験に、人物重視の能力実証を行う「新方式」試験を導入しており、引き続き様々な資質・能力を備えた有為な職員を確保

(4)多様な主体との積極的な人事交流
2020年オリンピック・パラリンピック開催に向けて、他の自治体からも派遣職員を受け入れ、日本全体で成功に導くとともに、様々な分野でのレガシーを全国に波及

【取組の方向5】 専門性を育成・活用するため「個」に着目した人事管理を強化
(1)複線型の行政系任用体系を整備
実務の要である監督職において専門性に着目した選考区分を設置し、採用から管理職まで専門性に着目した任用体系を整備することで、個々の職員が持つ専門性や強みを一層活用し、国や民間のプロフェッショナルと伍して対応できる職員を育て、組織の課題解決力を強化

(2)専門性や強みを育て、最大限活かす配置管理
若手期のキャリアパスの多様化や監督職の戻し異動の促進など、職員の希望や適性に配慮し、専門性や強みを育て、発揮させる観点を重視した配置管理を強化

(3)都職員の国際対応能力向上への支援
英語力を含む豊かな国際感覚と東京の歴史・文化に関する教養を兼ね備え、将来の国際業務の中核を担いうる「都庁国際化リーダー」を5年間で1,000人育成

【取組の方向6】 多様なマンパワーが持つ能力を最大限引き出す環境整備
(1)女性職員の活躍推進
専門性を活かした独任のスタッフ型監督職の設置や、時差勤務の導入、個別キャリアプランの策定支援など、育児期等様々な条件下でも十分に能力を発揮できる組織と任用へ転換。行政系管理職に占める女性割合を2020年までに20%まで高める

【取組の方向7】 努力した者が報われる信賞必罰の処遇を徹底
(1)昇給制度の見直し
勤務成績反映の幅を7段階に拡げ、職員の頑張りをよりきめ細かく処遇へ反映

(2)勤勉手当の成績率を全職員に適用
全ての職員に勤勉手当の成績率を適用しており、それぞれの職層の職責や職務困難度に応じて査定幅を設定

目標3 職員意識の変革促進
全体の奉仕者として、都民サービスの更なる向上に尽くす原点に立ち返るとともに、「世界一の都市・東京」を目指して職員意識の変革を促進し、積極的にチャレンジする組織風土を醸成

【取組の方向8】 職員一人ひとりの意識改革を促進
(1)「世界一の都市・東京」の実現を目指し、職員の意識改革を促進
日頃から枠にとらわれず、広い視野を持ち、積極的かつ柔軟に課題解決に取り組むよう意識改革
都民のために積極的にチャレンジする組織風土を醸成

(2)公務員としての使命や倫理観を再確認
全ての職員が都民からの信頼や期待に応えていくために、規範意識や「公務員は全体の奉仕者」との倫理観を常に意識し、誇りと気概を持って、職員一丸となり「世界一の都市・東京」を構築
<以上抜粋>


拙著『都庁面接試験の本質』では、人事当局が望ましいと考えている人材像について、面接試験に臨む受験生に向けた切り口で上記ポリシーを詳しく解説しています。併せてご参照ください。

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