エピソードがないと面接では戦えない

面接試験に向けて、志望動機をまとめること、強みとしてアピールできるエピソードを選別することは、数日前の直前期でもできます。

しかし、ある程度の期間が必要なこともあります。それは行動の実績を残すことです。

都庁には、一人で黙々と研究や事務作業を行うような仕事はありません。どのような職務に就いたとしても、都民、議員、同僚、他部門、他組織の人と関わりながら仕事をすることになります。

他人とどのように関わるタイプかは、面接官の最大の関心事項の一つですので、必ず検証されます。

リーダーシップがある、積極的に発言する、調停役を務める、聞き上手だ、粘り強いなど、面接で主張したい理想像があるなら、日々の活動の中で実践しておきましょう。

行動が習慣化されている、あるいは、そうした心がけで実践に努めているなら、実際にそうした人材になっているのですから、臆することなく、面接で自分はこういう人材だとアピールすればよいのです。

ただし、「自分にはリーダーシップがある」、「積極的に提案を行うタイプだ」といった受験生の主張を、面接官が鵜呑みにしてくれるわけではありません。

これまでにそういう発言や行動をしたときの周りの反応はどうだったか、どんな反論があったか、 それにどう対応したか、といった掘り下げた質問をすれば、本当にそうした資質を持った人材かどうかは分かります 。

なお、こうした掘り下げた質問は「証拠」の検証のためであって、「圧迫」の意図はありません。

態度に問題のある面接官も一部いるかもしれませんが、受験生が「圧迫された」「問い詰められた」と感じるのは、「面接官は黙って頷いてくれるはず」「受験生の言い分を受け入れてくれるはず」という誤解(過度の期待)から生まれている側面もあると考えられます。

面接官も、面接シートに記載されたことや、受験生が口頭で述べたことが事実かどうか、限られた時間で確認しなければいけません。

例えば、受験生のチームメートに対して「キャプテンとして人望があると本人は主張しているが、本当か」と確認できれば便利ですが、これは非現実的ですから、面接試験の質疑を通して判断材料の確実性を上げるしかありません。このため、事細かに問い詰めるような形になることもあります。

そして、本当に実践していることであれば、記憶を辿りながら、どんな突っ込んだ質問にも答えられるはずです。その経緯や自分なりの対処法を、熱心に披露する態度が見られるでしょう。

もし作り話なら、抽象的な説明に終始したり、「今すぐには思い出せない」と答えたり、落ち着かない態度が見られるはずです。本人も問い詰められていると感じるでしょう。

受験生としてはうまく言い逃れしたつもりでも、「本当の話なのかなあ」という疑念が残った場合は、面接官としては、その事実はないものとして評価せざるを得ません。せっかく、5分、10分かけて質疑応答したことであっても、加点はゼロです。
最悪の場合、「他にもごまかしていることがあるのでは」と、その人物の信頼性を低下させてしまいます。仕事で不都合なことが起こった場合も、こうやってごまかしたり、隠したりするのでは、との連想が働くためです。

例えば、チームの中で積極的に提案を行えば、思わぬ反論にあったり、非難されたと受け止める人もいたりして、上手くいかないこともあるものです。面接官は、それをどうやって乗り越えたのか(乗り越えようとしているのか)まで知りたいのです。

自分はこうありたいという理想像から逆算して、面接で語れるようなエピソードが足りないと思った方は、それを実践できる機会を探しましょう。

スケールの大きなこと、画期的なことでなくても問題ありません。日々の活動の中でのちょっとした改善でも構いません。

今年度受験の方も、実践し習慣化されていれば、それは新しい人物像と言えます。少なくとも、日々、改善に向けて努力している人材と言えますから、取組を始めるのに遅すぎるということはありません。

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