こう感じている受験生は要注意
-試験日程の変更で何を思うか

来年度の都庁採用試験では、Ⅰ類Bは筆記試験が1か月ほど後ろ倒しになりました。

部活などで忙しく、準備期間が限られていた方にとっては、これは朗報です。

一方、もともと準備時間が自由に取れていた方の場合、後ろ倒しで余裕ができたと考えたなら危険な兆候です。

本気で取り組む開始時期も後ろにずれてしまって、結局は直前に焦ることになりかねません。

従来の試験期日でも十分間に合うように準備するが、さらに1か月あれば更に実力を上げられるとか、最終確認できて更に良い、という発想であるべきです。

就職後には、仕事で与えられる課題には必ず締切りがあります。

締切りに対する態度は人によって様々ですが、基本的に、時間に余裕を持って課題を提出する人材が組織では好まれます。

採用試験は、仕事ができる人材、将来有望な人材を推測して選抜する過程です。
(何をもって「仕事ができる」「将来有望」とするかは、組織によります。)

公務員試験では、(外資系企業のインターンのように)実際に一定期間働いてもらいながら選抜することはできません。

面接の場面で、過去のエピソードを聞いたり、その場でのやり取りを通じて、人材のタイプを推測することとなります。

試験日の後ろ倒しを受けて「ゆっくりできる」と思ってしまった方は要注意です。

油断した結果、結局、筆記試験の直前期に慌てることになるのも問題ですが、「先延ばしにする」という思考・行動様式を持っていること自体が、面接で目を付けられる可能性があります。

採用試験の準備に関してだけでなく、面倒なこと、嫌なことに直面したときにどう対応するタイプかということです。

学校の勉強、普段の活動などにもこうした傾向が表れている可能性が高く、回避的な性質を面接でも追及されるおそれがあります。

面接では、政策の議論でもするのかと思ったら、意外と普段の行動など些細なことについて細かく聞かれることもあるでしょう。

その人物の根本的な思考様式や行動様式は、普段の行動の端々に表れるものです。

面接官としては、その人物の基本的な性向は、就職したからといって急に変わることはないと考えます。

例えば、職務で必要な法律を覚えるにあたって、仕事だからと仕方なく覚えるのか、それとも、自分が目指す職員像に達するために進んで覚えるのか、心の持ちようまでは組織は強制できません。

当然組織としては、後者のような心構えを持って頑張ってくれると思われる人材(面接官がそのように見取った人材)から、優先的に採用したいとなります。

したがって、自分には先延ばしの傾向がありそうだという方は、今からぜひ「前倒し」の発想に切り替えていただきたいと思います。

受験対策もそうですし、普段の活動でもそうです。例えば、指示された締切日よりも3日前を自分の締切りとして設定するなどです。

なお、受験生の側では、まずは就職できればいい、仕事が合わなければ転職すればいいという認識の方もいるかもしれません。(これ自体を非難しているわけではありません)

一方、採用側としては、40年間近く雇用することを前提にしています。(公務員の場合、よほどのことがなければ、組織のほうから職員を辞めさせることはできません)

採用側からすれば、自分のほうからは破棄できない40年間の雇用契約を結ぼうとしているのですから、長期にわたって雇用して大丈夫な人材か否か、面接で細かいことも突っ込んで質問せざるを得ません。

受験生の立場では、「なぜ留年したのか」「なぜ部活(アルバイト)を辞めたのか」「なぜ資格試験を断念したのか」など、あまり聞かれたくないことを根掘り葉掘り詮索されたり、いわゆる「圧迫面接」は嫌だなと思うかもしれませんが、相手の事情を考えればある程度は仕方ありません。

ここで問題なのは、留年したとか、途中で辞めたとか、その出来事自体ではありません。

面接官は、受験生が何と答えるかよりも、その裏にある思考様式、行動様式を見極めようとしています。

もちろん直前期には、適切なエピソードの抽出や相手に分かりやすく伝える技術も磨く必要があります。

しかし結局は、時間の取れるうちに、職業人として評価される思考様式、行動様式(資格やパソコンのスキルなどではなく、もっと根本的なものです)を自分のものとして、日々の活動にも反映させていくのが合格への近道です。


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