残業の多さランキング
- 都道府県・政令市 -

総務省が公表した「平成25年 地方公務員給与実態調査結果」から、都道府県、政令市の残業の多さに関するランキングを作成しました。

前回の記事では、同調査結果をもとに、都道府県、政令市ごとの平均年収を算出しています。)

試算結果は以下の表のとおりです。
試算にあたっての考え方や、結果の考察については、後段で紹介しています。 


都道府県・政令市の残業量ランキング
(一般行政職)
注 総務省データを基に、都庁OBにおいて試算

試算にあたっての考え方
当該総務省データでは、自治体ごとに「時間外勤務手当」(以下、「残業手当」と呼びます。)の平均支給額が示されています。
これにより、職員が残業手当を月平均でいくらもらっているかが分かります。

あとは、1時間あたりの残業手当の単価を算出すれば、以下の計算で平均残業時間を導くことができます。
 「残業手当(円/月)」÷「残業手当単価(円/時間)」=「残業時間(時間/月)」

今回、残業手当の単価を算出するにあたっては、当該総務省データの「給料」「地域手当」「特殊勤務手当」を利用しています。

もっとも、当該総務省データでは、「給料」は管理職(残業手当が支給されない)も含めた全職員の平均額が示されています。
また、「特殊勤務手当」の種別も明示されていないことから、本来は単価計算の基礎に含めることができない手当も入っているかもしれません。(金額的にはわずかと思われますが)

以上を総合すると、今回の試算過程では、「給料」「特殊勤務手当」で利用した数値が、現実の数値と比べて、高めになっています。

これにより、現実の「残業手当単価」は上記表の数値よりやや低めに、現実の「残業時間」はやや多めになると想定されます。

このため、上記表では「残業時間」「残業手当単価」については、概算の目安として示しています。
(今回は残業量の算出が主眼のため、残業手当単価は自治体ごとの平均年齢の違いを補正していません)

もっとも、管理職の占める割合は職員全体の10%~15%と少数であり、また、管理職になっても「給料」の額自体は大幅に増えるわけではありません。(管理職手当は「給料」とは別に支給されるため)
よって、当該総務省データの「給料」の数値は、管理職を除いて算出したとしても、それほどの大差はないと思われます。

ところで、残業時間は、一つの自治体の中でも、部署や時期によって大きく異なります。

また、当該総務省データは、実際に支給した残業手当の額を基にした数値です。残業時間自体が正確に捕捉されているわけではありません。

30分だけ残業したときでもきっちり申請するケースもあれば、定時から1時間くらいならわざわざ申請しないケースもあり、部署や組織の文化・慣習によって、どこまで細かく残業手当を申請するかが左右されることもあります。

ここで分析している数値は、全体の傾向を見るためのイメージとお考えください。

試算結果の考察
都庁の残業時間が月12時間程度(全体の34位)というのは、意外だと感じるかもしれません。

都庁の本庁については、残業時間が月22.8時間(2013年度)と以前公表されていました。
出先のデータは公表されていませんが、たいていの事務所(事業所)では月5時間~10時間で収まるはずです。真ん中を取って7.5時間程度ではないでしょうか。

都庁の本庁と出先の人数比は、概ね1対3と言われていますので、都庁職員全体の平均が12時間という結果は、実感としても妥当なところです。

残業量の上位は政令市が多くを占めています。
さいたま市では、全職員の平均残業時間で25時間ほどです。これは東京都の2倍強の残業量で、都庁本庁の平均よりも多いことになります。
出先事務所も含めた全職員平均で、毎月25時間の残業というのは相当なものです。

さいたま市は、平均年収でも都道府県・政令市のトップクラスでしたが、その分、残業も多くて大変だと言えそうです。楽にたくさん稼いでいるわけではありません。

一方、全般的な傾向とまでは言えませんが、人口規模が比較的小さい、地方の県庁が上位にところどころ顔を出しているようです。
財政難のため人員補充がままならず、職員一人あたりの負担が大きくなっているのかもしれません。

こうして見ると、残業に関して言えば、都庁だから大変とは限りませんし、地方の県庁だから楽だとも限りません。

確かに、組織全体での業務量は都庁が一番多いはずですが、その分、職員も大勢います。
ある程度は自分の専門分野に専念できる環境ですので、複数業務を掛け持ちしなければならないということは、ほとんどありません。

むしろ、組織全体での業務量が比較的少なくても、それ以上に人員が不足し、財政事情で補充もままならない自治体のほうが、職員の負担はかえって大きいかもしれません。


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