都道府県・政令市の年収ランキング
(年齢補正バージョン)

総務省が公表している「平成25年 地方公務員給与実態調査結果」から、都道府県、政令市ごとの平均年収を算出することができます。

もっとも、自治体ごとに平均年齢にバラつきがあり、単純な平均年収を比べるだけでは、実質的な給与水準(職員としての実感)の違いは分かりません。

そこで、東京都の平均年齢(41.9歳)を基準として、自治体ごとの「補正年収」を筆者(都庁OB)において算出しました。

試算結果は以下の表のとおりです。
試算にあたっての考え方や、自治体給与に関する今後の動きについては、後段で紹介しています。 

都道府県・政令市の年収ランキング
(一般行政職)
平均年齢41.9歳相当に補正
  注 総務省データを基に、都庁OBにおいて試算

試算にあたっての考え方
各種メディアでは、自治体の平均給与として警察官、教員等を含めた「全職種」のデータが報道されることもありますが、当記事では、いわゆる県庁、市役所の職員である「一般行政職」のデータを使用しています。

 ※ 一般的に、警察職の給与は、一般行政職より高く設定されています。このため、今回紹介した数値は、皆さんが雑誌等で見たものより低いかもしれません。

なお、自治体ごとの年収については、「平成25年 地方公務員給与実態調査結果」のデータから以下のように算出しています。

 年収=「月額支給される給料及び手当」×12ヶ月+「年額支給手当(ボーナス等)」

 ※ 寒冷地手当など、各職員の勤務地によって支給の有無が左右される手当もありますが、総務省データをそのまま計上しています。

もっとも、名目上の平均年収は上記で算出可能ですが、平均年齢に40.8歳(横浜市等)~45.3歳(北海道等)とかなり差があります。

公務員の場合、40歳前後であれば、勤務成績が「標準」でも、定期昇給で年収が毎年増加します。
都庁の場合、地域手当を含めて、月給で1万円程度、年収換算で16万円程度は増えるでしょう。(東京都・行政職給料表の3級50号程度を想定)

平均年齢を合わせないと、実質的に給料が高いのはどの自治体か分かりません。

都庁の地域手当が18%であるのに対して、地方では地域手当ゼロの自治体もありますので、40歳前後での定期昇給による年収増は、自治体によって13万円~16万円程度と想定されます。

もっとも、給料表の構造や、各種手当も自治体ごとに異なりますので、正確な算出は困難です。

そこで、簡便化のために、ここでは年収が1年当たり15万円増えるものとして、試算しています。

年齢については、都庁の平均年齢41.9歳を基準とし、これに合わせています。つまり、各自治体の平均年齢が41.9歳だったとしたら、平均年収はどれくらいと想定されるか、という考え方です。

例えば、大阪府は統計上、平均年収658万円、平均年齢42.9歳です。補正年収は以下のように算出しています。

 658万円-(42.9歳-41.9歳)×15万円=643万円(補正年収)

算出結果を見ると、政令市が上位に多く入っています。都市部のため給与ベースが高いこともありますが、総務省データの支給内訳を見ると、残業(時間外勤務手当)が多いことも原因のようです。

自治体ごとの残業の多さについては、別の記事で分析を加えたいと思います。

自治体給与に関する今後の動き
典型的には平均年齢の高い自治体で見られる傾向ですが、担当者レベル(下位職層)よりも、これらの職員を監督する立場の係長・課長補佐級(中間職層)のほうが多い自治体もまだ多数存在しています。

自治体の歳出削減を図る財務省がこの点を問題視しており、20144月の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の場で、自治体の「上に重い組織」を改めるべきと問題提起を行っています。

地方自治を所管する総務省としては地方の自治体に同情的ですし、地方交付税の総額減少につながることに積極的に賛成するとは思えません。

もっとも、財務省に予算額を減らされればどうしようもありませんので、徐々に切り崩しが進んでいくでしょう。

おそらく総務省としては、現在、係長待遇、課長補佐待遇になっている職員を降格せよとまでは言わないが、そうした職員が定年退職したあとは、従来通りの順送り昇格をしてはいけない、という指針で臨むのではないでしょうか。

指針が守られない場合は、その分、地方交付税の交付金を減らすということになるでしょう。(自治体独自の財源で賄うなら、従前どおりでも構わないという建前ですが、地域住民に説明できるかを考えれば、事実上、不可能です)

『都庁インサイト』でも紹介していますが、都庁では既に下位職層ほど人数の多い構造に変わっていますので、影響はほとんどないでしょう。
横浜市、川崎市などでも、級別職員構成の推移を見ると「上に重い組織」の改善が進んでいるようです。

一方、年数の経過でほぼ全員が係長、課長補佐級の給料をもらえた自治体では、今後、平均年収の低下が進むと予想されます。

なお、級別(職層別)の職員構成については、各自治体が公表していますが、総務省がそのリンクを以下のページでまとめています。
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/j-k_system/


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