受験生の姿勢は全て評価対象となる

国と比べ、都庁の強みは現場を持っていることと言われます。

現場を通じて、都市の抱える問題や、都民のニーズをダイレクトに把握することができ、現実的で、効果的な施策を打ち出せるという趣旨です。

都庁では、書籍やデータ、ネットで調べるだけでなく、自分の目で現場を見ること、人に会って話を聞くことが大切にされています。

これに関しては、受験生の取組姿勢も見られています。

例えば、ある受験生が、「都庁が第一志望です」と面接で答えるとします。

続いて、他と比べて都庁を選んだ理由を聞かれるでしょうが、安定しているとか、給料がいいからとは面接では言えません。基本的に、仕事の内容に絡めて答えることになります。

そのとき、「どのように都庁の仕事を調べたのか」と聞かれたらどうでしょうか。

書籍やネットで調べたという受験生は多いでしょう。短時間で効率的に情報を得るために、有効な手段です。

もっとも、一般的には、最初の就職先の選択は、職業人生を左右する最も重要な岐路と考えられています。(当の面接官も、かつてそのように都庁を選択したと想定されます)

その重大な判断を、本やネットの調査だけで行なった人材が、就職後には自主的に現場に出て、自分の足や耳を使って情報を取りにいくでしょうか。

おそらく面接官は否定的に解釈するでしょう。

「仕事となれば別です」という言い分は、採用試験では受け入れてもらえません。「誰かに指示されなければ、やらない」「お金をもらわなければ、やらない」との主張と解釈されます。

都政に関心を持ったきっかけ、都庁を就職先として考えるようになったきっかけとしては、書籍、ネットでも構いません。問題は、そこで終わりにするのかどうかです。

都内在住の方はもとより、地方在住の場合でも、機会を捉えて(時間を作り出してでも)都政の現場や都庁舎を訪れて、自分の目で確かめることはなかったのか、という姿勢が問われます。

都政の現場を知るためにどこに行けばよいか、まずはネットで調べることもできますし、都に問い合わせることもできます。これは積極性、行動力の実践でもあります。

上記は一例にすぎませんが、面接試験では、こうした取組姿勢や習慣、言い訳のつもりで口にした一言などすべて、人材像を推し量るための判断材料となります。

受験生の本音としては、良い部分だけ見てほしいと考えるかもしれません。

一方、面接官は、悪い部分(弱点)も含めて人物像を評価する必要があります。もっとも、その弱点が改善可能であり、職務で大きな支障となるものでなければ、採用に向けて妨げとはなりません。

採用に向けて積極的に推せる要素があることだけでなく、採用を妨げる要素がないことを見極めるのも、面接官の仕事です。

弱みや改善すべき点が全くない人物というのは、通常想定されていません。実際に都庁で最上位評価を受けている職員でも、この部分についてはさらに伸ばしてほしい、改善してほしいと上司に指摘される項目はあります。

弱みや不都合なことを無理に隠し立てすると、他にも重大なことを隠しているのではないかと疑われかねません。その場合、どうしてもこの人材を採りたいというずば抜けた要素が他になければ、採用は避けたほうが無難との評価をつけられるおそれがあります。

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