来年度の都庁受験に向けて-まずは択一の確実な突破

以下は第一志望、第二志望までの、都庁合格を真剣に見据えている方に向けた内容です。(第三志望以下であれば、都庁対策にそこまで時間を費やせないという方もいると思います)

ゼミや部活など普段の活動にどれだけ精力的に取り組んでも、専門科目の勉強をどれだけ深めても、教養択一で足切りされては先に進めません。これまで努力した論文、専門記述は採点すらしてもらえません。

最終合格を果たすには、択一、専門記述、論文、そして学生としての普段の勉強・活動と、バランスよく取り組むことが必要ですが、まずは択一の足切り水準を超えることが第一関門と言えます。

「択一がもう少し得点できていれば、あとは自信があったのに」と悔やむのは、心情としては理解できます。択一で足切りされた受験生の中にも、もし論文・専門記述が採点されたなら、高得点を獲得できた人材がいたかもしれません。

しかし、当局が設定した試験制度(能力の認定試験ではなく、職員の採用試験)を冷徹に分析するなら、こうした言い訳は通用しないと考えなければなりません。

ポテンシャルを持った人材が教養択一で先に進めないのは残念ですが、採用当局の視点では、いわば宿題を期日までにきちんとやってくる人材かどうか、イチかバチかに賭ける人材かを見極めたいという点で、これも総合的な人物評価の一つと言えます。当局としては、試験当日の運・不運の要素で採用する人材層が変わっては困るわけです。

つまり、択一のボーダーラインは、当局の視点では、「最終合格を目指すなら、ここはしっかり超えてほしい」というミニマムの基準です。

当局が採用を想定している人材イメージを例えるなら、本来の実力を発揮できればボーダーを5点超える水準、万一、試験当日に体調が悪かったり、苦手分野からの出題が多かったとしても、ボーダーは超えるだろう、という水準です。

都庁を本命とする場合、あるいは併願先の一つだがぜひ受かっておきたいという場合は、これを念頭に準備する必要があります。

そのためには、どの分野で何割得点する必要があるか、それを達成するために、どのようなテキストで、どのくらいの期間、一日何時間勉強する必要があるかなど、具体的行動に落とし込む必要があります。(こうした綿密な行動様式自体を、面接でもアピール可能です)

日々の活動や併願先の準備など、受験対策に割ける時間には個人差があるため、結果的にその水準に到達できないのは仕方ありません。
都庁が第一志望の受験生の中でも、併願の考え方によって、総勉強時間の8割以上を都庁対策に割ける方もいれば、6割しか割けないという方もいます。

もっとも、計画を立てる段階では、ボーダーを十分超える水準を目指すべきです。
本番の出来しだいでボーダーを超えるかどうかという水準をはじめから目指してしまうと、運任せとなってしまいますし、何より、当局が採りたい人材像と離れてしまいます。

現時点では劣勢かもしれないが、挽回して見せるという意欲を持つ方、目標から逆算して計画を立てて目途が立ちそうな方は大丈夫です。

どうしても都庁で働きたいという意思が固い場合は、併願先の比重を減らし、都庁対策の時間を増やす選択も考えられます。

また、部活や資格試験などの関係で、直近の試験は万全の態勢で臨めそうにないが、仮に合格できなかったとしても、浪人(留年)して再度挑戦が可能な状況の方もいるでしょう。

一方で、それだけの時間と集中力を都庁の受験対策に割けない、今からではとても間に合いそうにないという場合は、先の記事で紹介したとおり、併願戦略の再確認が必要です。

つまり、択一試験突破の確率が五分五分という見通しの下で、択一試験のみならず論文、専門記述も含め、都庁の対策にどれだけの時間を費やすべきかという問題です。(特に、浪人してまで都庁に入りたいというほどの志望度ではない場合)

ケース・バイ・ケースですが、都庁の志望度を下げ、その分、他の志望先に時間と集中力を投下するほうが、就職活動として良い結果につながる事例も考えられます。

都庁と併願先の双方の準備に費やす時間、集中力が分散し、どれも中途半端となる事態に注意しなくてはいけません。

ある受験生にとっては併願先のひとつ、あるいは滑り止めのつもりでも、他の受験生は、本命の志願先として綿密な準備を行って臨んでいるかもしれません。難易度を下げれば、どこかは受かるのではないかと油断すべきではありません。

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