都庁採用予定者数の変化から読み取れること

平成28年度の全体の採用予定者数は1,155人で、事務は615人、技術(土木・建築・機械・電気)は366人、専門的な職種等は174人となりました。

東京五輪の準備、都営交通や上下水道などのインフラの整備・再構築等のため、引き続きニーズの高い「機械」及び「電気」の採用予定者数は、昨年度に比べ36人増の132人となっています。

技術職については、建築区分を除き、全般に増加傾向です。技術系職員の積極的な確保は続いています。1類A合計で130人と昨年度より12%増、1類B一般方式でも183人と昨年度より20%増。3類でも昨年度23人から36人に増加しています。

行政区分については、明暗が分かれています。近年の採用予定者数の推移は以下の通りです。

<行政区分>
平成26年度→27年度→28年度
1類A
 60人→90人(50%増)→95名(5%増)
1類B(新方式)
 50人→100人(100%増)→105名(5%増)
1類B(一般方式)
 438人→484人(11%増)→365人(25%減)
3類
 45人→55人(11%増)→50人(9%減)

1類B(一般方式)が最大枠であることに変わりはないものの、大幅減となっています。ボーダーライン付近では、昨年の試験であれば合格できたはずの百数十名の方が、今年は涙を呑むこととなりそうです。

新方式と一般方式の比は、概ね
1:9 → 1:5 → 1:3.5
と推移しています。

当初は新方式で入都する方はマイノリティーでしたが、これからは決して珍しくない存在となりそうです。
個人的には1:2くらいまでは十分行けると思います。もっとも、行政機関ですので、法律科目などの専門試験を突破した人材も相当人数は必要です。

全般として採用数を絞るというのは、『都庁インサイト』でも紹介したとおり、職員の年齢構成から予期されたことですが、ここまで急激に減らすと、人員構成がまたいびつになってしまうので、本来は望ましくありません。

近年、多くの職員が定年退職を迎えたこと、オリンピック関連部署等の新設部署へ異動させた職員の欠員補充のため昨年度の採用を大幅に増加させたというのが実際と思います。急に今年減らしたというよりは、昨年度、一昨年度が大幅に増えていたということです。

もっとも、全体の採用数を減らすにあたって、1類B一般方式を調整弁としていることには注意が必要です。

普通に考えれば、行政の各試験区分でそれぞれ20%ずつ減らすことになりそうなところですが、1類Aと1類B新方式はむしろ増加させています。人事当局としては、高い専門性や分析力・思考力が試される、この二つの枠にかなりの思い入れを持っていると言えます。

「採用人数を絞るなら、均等に減らすべきじゃないのか」と誰かに指摘されたとしても、「いや、この区分は別なんです」と説明できる材料がないと、押し通すのは難しいです。そうした人材を配置した部署から良いフィードバックが来ているということでしょう。
これは、人事当局がどのような人材を欲しがっているかという点で、1類B一般方式、また、技術職の区分に臨む方にも大きなヒントとなります。

当局が一般方式を軽視しているのではなく、その区分の中でも、ある特性を備えた人材を優先的に採用したいということです。

例えば、一般方式で課される筆記試験でも十分な成績を上げながら、新方式でも合格できそうな人材としての特性が見受けられれば、それは優先的に採用(高得点を与える)となるでしょう。

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