面接官からの「正当な評価」は期待できない

職場では、年間を通じて一日8時間以上、一緒に仕事をしながら上司が勤務態度や業績を評価します。評価にそれだけの時間をかけても、「正当に評価されていない」と不満を持つ部下は少なくありません。

採用試験の1回や2回の面接で、それも1時間くらいでは、受験生の「真の姿」など分かりません。厳密に言えば人物像を「推測」しているということです。

例えば、学生時代に成し遂げたことも、その成果や頑張り自体が評価されるのではなく、将来の姿を推測するための材料です。

もちろん、面接官は、できるだけ正確な「推測」を試みますが、科学的な測定ではありませんから、ぶれ幅が出ます。

受験生の人生を左右しかねないため、真剣に、できるだけ本当の姿を見抜こうとしますが、それでも、「見落とし」「勘違い」がないとは言い切れません。

このため、受験生の方には、「正当に評価してほしい」という視点だけではなく、「正当に評価されるにはどうすればよいか」「面接官が評価を下すにあたって、自分の側で手伝えることはないか」という視点を持っていただきたいと思います。

言い換えれば、「自分の良さに気付いてもらえるはず」「良さを引き出してもらえるはず」と相手に期待する受動的な姿勢ではなく、自分のほうから積極的に働きかける姿勢とも言えます。

都庁への採用を目指す場合、年に1回しかチャンスがありません。たとえ評価が下にぶれても合格できるように、都庁がどんな人材を求めているかを軸に、余裕を持って準備しておきます。

筆記試験の準備に関しては方向性や目指すレベルが分かりやすいのですが、面接対策に関しては時間を取ってじっくり考えていただきたいと思います。

自分が就職を希望する組織がどんな人材を求めているか、それに対して自分の現在の人材像はどうか、不足する点を改善するにはどんなアクションが必要かなどです。

面接で、「自分はこういう人材だ」「こういう行動を取ってきた」と(ウソや誇張でなく)自信を持って言えるようにするためには、今、何をやっていなければいけないか、逆算するのもよいでしょう。

また、これは主に直前期の対策ですが、面接官の評価がぶれないように、自分の言いたいことを正確に伝える、また評価に値するポイントを自分からうまく提示することも必要です。

もっとも、本番での緊張下ではいつもの癖が出やすくなります。特に、予期せぬ質問に対して苦し紛れの回答をしたときに、自分の素が出やすいものです。

このため、自分の主張、メッセージを口頭で分かりやすく伝えるにはどうすべきか、早い時期から問題意識を持っておいたほうがよいです。日々の活動の中で少しずつ試行錯誤を積み重ね、習慣化を図りましょう。

「結論から先に言えばよかった」とか、「余談が入って筋が分かりにくくなった」など自分で振り返り、次の機会に改善できるようにします。他者の主張を聞く際にも、「結論、理由の流れが分かりやすかったな」とか、「自分ならこう説明する」など、内心で評価しながら聞くのもよいでしょう。

これは、就職対策だけでなく、入ってからの上司・同僚や、外部の関係者とのコミュニケーションの場面でも役立ちます。

最後に、繰り返しになりますが、面接官が高く評価するのは、面接の中でうまく受け答えできた受験生ではなく、就職後に活躍できるだろうなと推察される受験生です。

公務員試験の場合、筆記対策に時間が取られることもあり、採用試験自体に焦点を当ててしまいがちです。しかし、面接試験の段階になれば、「この人材は、就職後はどんな仕事ぶりになりそうか」の視点でしか見られていないと言っても過言ではありません。

せっかく筆記試験で得点を稼いでも、「この人材は都庁の組織の中でやっていけるだろうか」と面接官に疑問を持たれては、最終合格に至りません。筆記対策と面接対策をバランスよく進めていくことが必要です。

そして、面接に向けては、直前期の受け答えの準備も大切ですが、これは必要な準備の一部にすぎません。組織での活躍が期待できる人材として、日ごろの心掛け・行動が問われます。これは直前期では間に合いません。

受験生の側からすれば、「都庁に入ったら結果を出してみせるから、試しにでもやらせてほしい」と感じることがあるかもしれません。

しかし、組織としては、やらせてみてダメだったからといって、職員をクビにすることはできません。したがって、組織に入れても大丈夫だと納得できなければ、初めから通すことはできません。

「入ったら頑張ります」という熱意だけでは不十分で、熱意が実際の努力や成果の形で表れているかが問われます。

この点は入都後の人事異動や昇任の場面でも同じです。「希望部署に異動できたら一生懸命やる」と言ってはいるものの、今の仕事に一生懸命取り組めていない人材には、重要な仕事、難易度の高い仕事が任されることはありません。


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